といったことが書かれています。
著者は生物学者として、
「ヒトはどうやって人口密度調節をしているのだろう?」
という疑問をもち、「父と娘の関係」に着目し多くの女性を観察し、これらの傾向を見つけたと書いています。
女の子のお父さんはもちろん、お母さんが読んでも、面白い本だと思います。
家族が仲良く暮らすためにと願って書かれた本です。
娘は『性を超えた聖なる愛』を父親から感じると、『娘のサイン』をだして、セクシャリティの対象である女の体に反応しない聖なる愛を持つ男性(=父親)がこの世に存在するという体感を、男性との絆の出発点とする。逆に、父親(=男)から性的な視線を感じると、そのベースがなくて、不感症になりやすい。そして、父親からの娘の性的視線というのは、本当によくあるという。内田春菊さんの『ファザーファッカー』を思い出した。ただ「今現在の問題を、幼児期の成長過程や親との関係に還元する考え方」は、ありがちだな~とは思いますが、ある種の真理でもあると思います。しかし、ここまで考察しているならば、では既にそうやって『育ってしまった』人の心を、解放に導く処方箋を著者は考えるべきなのではないか?それがなかったのが残念。ようは、父親に正しく愛された娘は、幸せな夫婦関係を築くといっているだけになってしまう。
それと、産業資本主義のおける夫婦つがいの『結婚』という制度は、女性を家庭に縛り付けて、分業効率を上げるための大発明です。結婚という制度が近代の特異現象であるという、ロマンチックラブの発生起源からの歴史的経緯からすると、やや『結婚という近代の制度』を、過度に信頼して、それ以外の可能性への指摘なしに感じます。動物学的に、組織を形成するストレスの軽減のために、つがいによる「承認」のシステムを取り入れ人類は繁栄したという指摘は、鋭い。ただ、それが一対一な必要性があるかどうかは疑問。近代の結婚制度の崩壊過程を分析している岡田斗司夫さんの『フロン』『恋愛自由至上主義宣言』等を同時に読むと興味深い。
3章の「妻との絆」は少し説教くさくて、あまり面白くない。しかし全体として、著者の指摘には「なるほど」と思わせるものがある。著者は動物行動学者で、本書のテーマは必ずしも専門ではないが(追記に説明あり)、その洞察力は本物と言える。