歴史的読み物
★★★☆☆
残念ながら古すぎて活用はできない。想定すべき危機が現在と違いすぎる。歴史的読み物として第1編第1章をしっかり読んで、残りの第1編はサラっと読んで、その他は斜めに読めば十分だと判断した。
読み辛い
★★☆☆☆
書いてある内容は日本語訳としては正しいのかもしれないが、
原文が酷いために読み辛い。
今の日本人が入門的に読もうとすれば、拒絶反応で読む気を無くすのがオチ。
ただ、良く分かっている人が読むのであれば大丈夫かもしれない。
しかし、良く分かっている人が読むことがあるのだろうか?
じっくり読む名著
★★★★☆
初めて『戦争論』を読んでいます。内容をまとめながらなので、半年かけてまだ<上>の3分の2くらいという感じです。でもこんな名著をこんな値段で読めるなんて本当に素晴らしいです。『事例の正しい使い方』や『相手を説得する方法』など、いまならば別々のビジネス書になっていることが体系立てて書かれていて無駄がありません。『戦略』と名の付く肩書きで身を立てて行こうと思われている方には、是非じっくりとお読みになることをお勧めします。
ただ・・文章が私には結構難しいです。日本語なのに辞書を引いたりすることもあります。
岩波文庫版に正当な評価を
★★★★★
本書は戦争を研究する上で必須の古典だが、難解との定評がある。それもそのはず、この書は未完成で、クラウゼヴィッツの死後に編集・出版されており、全体的にこなれていない。しかも、日本人になじみの薄いフリードリヒ大王戦史や自身が参加したナポレオン戦争を題材に論が展開されているのである。
現在、日本語で読める完訳本は、私の知る限り中央公論文庫の清水訳とこの岩波文庫の篠田訳であろう(短縮版としては芙蓉書房版、徳間書店版あり)。
篠田訳・清水訳についてよく聞くのが、篠田訳はプロイセン参謀本部が「改竄」した第二版以降をテキストにしており、初版を復刻したものをテキストとした清水訳(もしくは芙蓉書房版)の方が、クラウゼヴィッツ本来の思想を伝えている、といったものだ。全部を読み比べたわけではないが、最も重要な改竄とされる第8篇第6章Bの内閣と最高司令官の関係については、どの訳も意味を大きく変えるものではないし、前後の文脈からも十分彼の言わんとするところが分かり、言われるほど気にする必要はないと思う。むしろ篠田訳は訳注が他の訳本より充実しており、また索引があり、メリットはある。
難解な本書であるが、まず第1篇第1章と第8篇を読むことをお勧めする。第1篇第1章はクラウゼヴィッツ本人が唯一完成した原稿と述べている章で、戦争論の基本的な方向性が分かる。第8篇は全体の総括であり、彼の実戦体験を反映したもので、表現が実にストレートである。その中の「フランス打倒計画」は必読であろう。パリおよびその背後に向け、ベルギー方面とドイツ方面から各30万の兵力で攻撃する計画において、彼は「二方面で攻撃的前進を行っている両軍の中間に横たわる全地域は、その儘にしておいてよい」と言い切る。普通、中間地域の防衛や両軍の連絡のことを心配するものだが……。このような大胆なセリフ、吐いてみたいものだ。
戦争論は難しいか?
★★★★☆
戦争論は、非常に難解で難しいと言われる代物である。他のブックレビューを見て批判するのはよくないと思うが、18世紀における戦争実体と現代における戦争実体に当てはめて考えると実際に役立たない部分もある。また、戦争論は哲学的要素や歴史の引用などが含まれており、文庫本では読みづらいという部分も納得できる。特に、ナポレオン戦史、フリードリッヒ戦史を理解していなければ分からない点も多々ある。
しかし、戦争と政治との関わりやその目的と手段、理論と実践に関しては色あせることはない。むしろ、現代の戦略思想家といわれる人たちがクラウゼヴィッツ以上に戦争に関する論究をしているであろうか?また、戦争を考える上でクラウゼヴィッツ以上の物差しを提供した人物がいるであろうか?
孫子とクラウゼヴィッツを対比することは難しいが、私見では孫子とクラウゼヴィッツの言っている戦争に関する部分は、オーバーラップしている部分さえある。程度の差こそあれ、日本語による訳文ゆえ難解といわれる「戦争論」を理解するには1度や2度読んだだけでは無理なのである。また、篠田訳、清水訳など「戦争論」に関する訳本が多いので、訳者によって解釈の違いが出るし、日本人に馴染みの薄い哲学的要素が多分に駆使されているから読みづらいのは当たり前である。そのあたりは、解説本やガイドブックから攻めて事の本質に迫るしかないであろう。戦争論は何度も読み、理論と実践に関する部分から理解しないと先に進まない。また、戦史を研究する必要性もあり取り組むには一筋縄でいかないのが現状であろう。