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人間の安全保障 (集英社新書)

価格: ¥714
カテゴリ: 新書
ブランド: 集英社
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新書版の論文集。分かりやすいが、読みづらい。 ★★★☆☆
本書は新聞紙上や雑誌上に掲載された著者の論文ないし論稿を翻訳し、まとめたもの。
その為、論点がはっきりしていて密度が大きいのは確かである。

確かに、途上国での教育、西洋化ではない民主化、印パ核実験などは
普段新聞を丹念に読んでいる方であっても親しみのないテーマであろう。
そうしたテーマこそ漠然とした先入観を抱いたままでいがちなのだが、
本書はそうしたテーマになるほど、と思わせるような問題定義をしている。
もちろん筆者の見解が全て頷けるものだとは言わないが、こうしたテーマに触れる機会を与えたことこそ
本書が評価される理由なのだと思う。

しかし、一貫したテーマの下に編集されたものではなく、論点が論文ごとに重複していることがある。
また、原文を生かそうとしたのだろうが、訳が上手とは言えない。
厳密な訳語の検討をせずにそのまま横文字を使用しており読みづらかった。
註の付け方など工夫が見られ、訳者の努力は窺えるのだが…

国際政治など大学の講義・ゼミナールなどのテキストで使用される分には一向に構わない。
しかし、センの入門書としては、『貧困の克服』の方が読みやすいのでそちらを薦めたい。
人は人として人に何をするべきなのか ★★★★☆
「人間の安全保障」について、アジアで初めてのノーベル経済学賞受賞者である筆者が、その概念を明らかにしようとしている、小論集。タイトルにもなっている「人間の安全保障」に関する話の他にも、グローバル化や民主化、インドと核兵器などに関するセンの考察が収録されている。

本書では、「人間の安全保障」の概念を、人間的発展や人権の概念と対比させながら、それぞれの違いを示すことで、その概念を深めている。その差異を認めた上で、それぞれの概念を補完的に用いることを提唱している。

三年ぶりに再読してみたが、背景知識が増えたためか、新たな発見もあって面白かった。本書に収録されている「人権を定義づける理論」と「民主化が西洋化と同じではない理由」は、今日の人道問題や人道的介入の是非を考えるときに、大きな示唆を与えてくれるだろう。

セン自身の語り口と訳者の技術によって、柔らかい文体となっており平易で読みやすい。全体を通して、筆者のヒューマニズムが溢れる一冊となっている。
訳のせいか・・? ★★☆☆☆
セン博士の『貧困の克服』も読んだが、翻訳がまどろっこしい言い回しをしているせいなのか、今回の『人間の安全保障』も、読んでいても文が理解しにくかった。セン博士の思想や研究には敬意を抱いているが、日本語に訳された文を読むと、非常にがっかりする。日本語に訳されたものではなく、原文で読んだほうがよっぽどわかりやすいと思う…。
未来の生のために ★★★★☆
 あるいは、この本を読む中で、例示の妥当性等々に突っ込みのひとつも入れたくなること
くらいはあるかもしれない。しかし、本書においてこのノーベル経済学賞受賞者の示す
「人間の安全保障human security」にかける悲壮なまでの熱意を笑うもの誰ひとりとしては
いないだろう。
 教育、医療、核、貧困、民主主義……ここでなされる問題提起の数々は、今日の「人間の
安全保障」議論を形づくるものともなる。
「理論と実践とのあいだの貿易収支に、さほど大きな赤字はありません」のひとことは
感動的。
 表現も比較的平易な本書は、他のレビューが言及するように、まさに中高生に手に取って
欲しい一冊。
知性の深み、道徳哲学の復権 ★★★★★
 ひとことで言えば、素晴らしい本です。もちろん、細部を読み込んで、批判をすることはいくらでも可能でしょう。賞賛するにも批判するにも、しがいのあるものだという意味で、素晴らしいと言いたいと思います。
 経済学を越えてさまざまな分野に影響を及ぼしているセンですが、個人的には道徳哲学・倫理学的なグランドセオリーの復権という観点から、評価したい。「人権を定義づける理論」の章は、圧巻です。とりわけ、ドグマチックな理想主義として敬遠されがちなカントの義務論が、人権の基礎づけにおいて、「理論と実践」の両方にわたって果しうる役割の可能性を、きちんと評価し、扱っています。実はこれ、カントの専門家でもできていない人が少なくないのです。倫理は法が機能するための広い土壌を形成するものである、という実りあるセンの議論を、近代法の法と倫理の峻別に固執している方々には、ぜひお読みいただきたい。
 知識量の多さと目配りの広さは確かにすごいですが、学の本質は、その多さと広さを言い立てることではなく、どれほどの深さで対象を熟考し、吟味し、批判的に検討する思考の作業ができるかだと思います。その意味ではセンには、感嘆のため息しかないのですが、遠く及ばなくとも、その姿勢に学びたいものです。