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ニーチェ (ちくま学芸文庫)

価格: ¥950
カテゴリ: 文庫
ブランド: 筑摩書房
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初学者におすすめ?本当か。 ★★★☆☆
ドゥルーズのニーチェ解説。
ニーチェ自身の生涯にまつわる前半部はよみやすいことこの上ない。だが哲学の内容の章は、他のレビューにあるほどに平易だろうか? 思うにこの訳者は原文の意味を十全に理解していないのでは?と思わせる部分が数箇所ある。ドゥルーズが、力への意思などについて丁寧に説明しようとこころみるこの小品の内容はすばらしく勉強になる。ただ訳は最善ではない。日本語が破綻している部分がわずかだがある。それを初学者がすいすいと理解していくとは、僕には思えない。
すばらしい、ドゥルーズによるドゥルーズ入門書。訳者解説も光る ★★★★★
「訳者解説に代えて」が、とても興味を引いた。

もちろん、本文はすばらしいし、非常に読み易い。差異と反復へとドゥルーズが向かう前に、なにを考えていたかを良く知ることができると思う。

それがあるからこそ、というかその流れの中に「訳者解説に代えて」が上手く乗っている、そんな気がした。

力と力の相互作用が作り出す、ある均衡点

月と太陽と地球の関係は、今のような関係でなければどこかへ吹き飛んでいってしまうらしいと、友達に聞いた。偶然のようなバラランスの上に3つの球体は関係を保っている。そんなことが有名なポアンカレ先生も、ニーチェと同じ時期の人

人は日々、回帰するために多大な努力を行なっている、そうする事で私を見つける、

きみが今経験している生を,再び生きたいと当然願うことになるような仕方で,生きよ

(「遺された断想」より「<力>への意志」第四部,242〜244)

本文:p.178

我々は私を創り出さなければならない

そうしなければ、私は逃げていってしまう。

生成に存在の性格を刻み付けること。これこそ最高の力への意志である」(「遺された断想」,394)

本文:p.229

そうして、私を創り出そうとするエネルギーがまた他人を創り出すのに寄与してゆく

だから<強い>という事は,なにかを欲しがったり,手に入れようとする事ではなく,むしろ作り出そう,自ら持っているエネルギーを贈与しようとすることである。

 強さを現出させようと欲する「力の,力との関係」から,お互いに関わりあっている諸力の<量>の差異が発生し,かつまたこの関係において各々の力に帰す<質>も生み出される。

本文:p.214

ゆえに、私は常に私でない何かと供にいる。連続している。

何かに犯されている。そう犯されている。
これ一冊あれば、ニーチェ自身の著作は必要ないお値打ちな本 ★★★★★
ニーチェの書いた重要な文とドゥルーズの解説と伝記で構成されている。
人類は様々な宗教や神の概念を考えたが、
キリスト教のヤーウェとイエスが、もっとも品性卑しい悪であることが、この本読めば理解出来ます。
キリスト教は人間の生きる力を奪う、人類を堕落させるふざけた教えである。
人類の敵の神は殺されて当然なのである。
神が死んでも、神の代わりに高位の人間が社会を支配するシステムにニーチェは警鐘を鳴らしている。
支配者というのは被支配者のエネルギーを奪わないと生きていけない哀れな弱い存在だという考え方は面白かった。
力のベクトルは創造的に進むのが理想である。
全ての人が超人になって、他人に生きる力を与える生き方をするべきなのである。
ニーチェと言えばルサンチマンについての考察も有名であるが、
怨恨とか復讐が虚しい生き方なのは、
復讐の対象者に自分と同じ苦痛を与えてそいつの生産性を奪おうという負のエネルギーの発露だからである。
それでも怨恨を持つものが、復讐したがるのは、
何もしないと自分の苦悩の無意味さが顕著になるので、
「俺は悪くない、復讐ではない、正義の鉄槌だ!」
などと正の力の発現だと思い込みたいからである。
復讐は無意味であるが、ニーチェと言えばニヒリズムもあったな。
人生は無意味ではありません。
ニーチェは虚無主義を乗り越えて超人になれと言っているのである。
他の重要なキーワードはアイデンティテイ(自己同一性)の問題があったな。
「私は何者か?」「意識を持つ人間とは何か?」と悩むのがいかにも哲学ぽいが、ニーチェは自我について悩む人を馬鹿にしているのでかっちょええ!
「自分探し」することの無意味さを判りやすく喩えている。
「私は何者であるか?」という悩みは、
「現在とはいつのことだろう?」と悩むのと同じようなものである。
現在について考えた瞬間に、既に現在は過去になっているのですよ。
ようは、アイデンティテイも固定された存在ではなくて、
過去から未来へと変化していくのに、
過去の自分を定義しても、それは既に今の自分とは同一ではないのだ。
未来の自分がどうすれば良い存在になれるかと考え、
創造的に行動すればいいのだ。
肯定する力を発動し、創造的に生きないといけないのである。
何も創造しないで、無意味な分析をする哲学者をニーチェは馬鹿にしています。
哲学者はクリエイターであるべきだと言っています。
もっともクリエイターとしてのニーチェは、
おかしな詩人みたいなものですが(藁
晩年に精神病院にぶちこまれたニーチェの言葉に全て感動するのは無理だろうが、
哲学というより文学に近いから、ニーチェは読みやすくて面白いよ。
ニーチェの理想は至極尤もだが、素晴らしきクリエイターの前段階としての、
分析する批評家(科学者)の立場も、ニーチェは認めていると思われるので、
私ももちろん、批評活動は続けます(藁
最良のニーチェ入門 ★★★★★
ニーチェについて興味はあるが、ざっくりとつかんでおきたい人には最良の入門書。非常にイメージ豊かな文体は読み易く、「永劫回帰」「力への意志」「超人」などといった主要な概念について平易に読み解いてくれている。
初学者にお勧め ★★★★☆
フランスポスト構造主義の大御所の一角、ドゥルーズが(おそらく)哲学を専門としない人々のためにニーチェについて書いた本。永遠回帰、権力への意志、貴族-奴隷といった難解で、物議をかもした概念が分かりやすく解説されていて、ドゥルーズの熱意が伝わってくる。ニーチェに関心がある方、読んでみたけれど「あぶねーこいつ」としか思わなかった方にとくにおすすめしたい。一方ニーチェエキスパートを自任する諸氏にはものたりなく感じるかもしれないが、ドゥルーズが専門家向けに書いた本もあるのでそちらをどうぞ。