トリロジー(紙ジャケット仕様)
価格: ¥2,500
速弾きギタリストの「教祖」、イングヴェイ・マルムスティーンのソロ3枚目となるアルバム。アルカトラス在籍時から並外れたギターテクで注目を集めていたイングヴェイ。彼を皮切りに、続々と超高速プレイを得意とするギタリストが登場した。しかし、いまだ彼を凌ぐギタリストがミュージックシーンに現れない。それは、彼の速弾きが単に技術的なものではなく、クラシカルかつ格調の高さをも醸し出しているからにほかならない。
アルバムを出すごとに理想とするサウンドを実現していくイングヴェイ、3枚目の本作では北欧系独特のメランコリックなサウンドをさらにハード・ロック色の強いものに仕上げている。これには、以降のイングヴェイの作品でも何度か起用されている実力派ヴォーカリスト、マーク・ボールズに負うところが多いだろう。アルバムの流れもメリハリが利いている。たとえばアコースティックギターのインスト<4>から<5>のハードかつスピーディな曲へ、さらに明るめの<6>への移行など。イングヴェイは<9>のギターソロ1曲の中でも、静と動をきっちりと弾き分け、組曲に仕上げる優れたセンスを発揮している。彼の初期の代表作としてぜひ聴いてほしい。(富良仁 枝実)