リーン・イントゥ・イット
価格: ¥2,447
2002年でその活動の幕を降ろすことになった超ハイテクな4人衆、ミスター・ビッグが1991年にリリースした2ndアルバム。技術点で勝負した1stに対し、芸術点で魅せ(聴かせ)た2ndである。前作のグイグイと一気に押しまくる勢いよりも、彼らのサウンドを聴かせることに重点をおいた各曲の練り込みの深さにバンドとしてのまとまりを感じる。テクニックだけではない音楽的センスを存分に発揮した1枚だ。
アルバムへの期待が一気に膨らむ<1>はスピーディなナンバー。ドリルの先にピックを付けて、いかにも早弾き的にプレイする妙技「ドリル奏法」を披露している。ナマでも十分に速いのにドリルというツールを使ってプレイする遊び心、そんな曲をオープニングにもってくる度胸は、2枚目にしてベテランの余裕。そして、滑らかなギターのフレーズとハモリが印象的な<3>、ギターとヴォーカルを支えるコーラスというシンプルな構成が詩とメロディの美しさを引き立たせて彼らの代表曲となった<11>など、すべての曲が個性的で魅力にあふれている。4人の音楽の方向性が絶妙に溶け合った結果だろう。彼らの人気と実力を決定づけたアルバムだ。(富良仁 枝実)