モーニング、ヌーン&ナイト
価格: ¥2,520
ボブ・ジェームスが初リーダー作『Bold Conceptions』をマーキュリーに録音したのは1962年。考えてみるとこの人、ずいぶん長いキャリアの持ち主だ。それでいていつも若々しいのは、思考力が柔軟だからだろう。
これは2001年発表の『Dancing on the Water』に続く作品だが、とても大ベテランの作品とは思えない若々しさとポップ・センスにあふれていて、いつもながら感心させられる。ボブは自身が最高のプロデューサーだが、その限界もちゃんと心得ていて、新しい血を導入して自身の世界を広げることを怠らない。この作品でいえば、ポール・ブラウンやチャック・ローブといった後進をプロデューサーに起用している点がそれだ。その結果、聴いた瞬間にボブだとわかる演奏は昔に比べれば少なくなった気もするが、それと引き換えに多彩なカラーを手に入れた。前作に続いて松居慶子が1曲に参加、<10>でチャーミングなソロを聴かせる。<7>は娘のヒラリー・ジェームスのヴォーカルをフィーチャーしたスロー・バラード。(市川正二)