Pause
価格: ¥1,667
イギリスのメディアでは、TORTOISEやMOGWAIなどと同様に高い評価を得ている、ポスト・ロック・バンド、FRIDGE。その中心メンバーであるKieran Hebdenによるソロ・プロジェクトがFOUR TETだ。1999年の『Dialogue』に次ぐ、この2ndアルバムは、すでにNME誌やThe Face誌などで絶賛を受けている。
しばしば、その音楽性が、フォークとエレクトロニカを組み合わせた「フォークトロニカ」という言葉で語られるように、本アルバムの基調になっているのは、<1><2><7>のようなアコースティック・ギターとブレイクビーツを軸にした、みずみずしさと穏やかさが同居するトラック。また、重たいビートと飛び交う電子音、そして美しい弦の調べの中で、子どもの“no mosquitos(蚊は嫌い)”という牧歌的な歌声が繰り返される<8>のように、各曲とも、波、タイプライター、人の呟きなどさまざまなサンプル音、生楽器が使用され、シンプルながら非常につくりこまれた構成になっている。
アルバム全体の流れも、<3><5><9>のような美しいノンビートの曲が要所に配され、非常にスムーズ。クライマックスは、メランコリックに鳴らされるギターにからむ強調されたベースが疾走感を生む<10>から、Bjorkの「Vespertine」の世界観にも通じる、静かなオルゴールの音色が印象的な<11>への展開だ。
エレクトロニカ、ポスト・ロック勢の中で群を抜く高いクオリティの楽曲と、どこか郷愁も感じさせる、温かく穏やかな独自のサウンドスケープを堪能してみてはいかがだろうか。(山田次郎)