舞台はアメリカ。ローズ・カフェを経営する日系アメリカ人サリ（ノブ・マッカーシー）は、砂漠で行き倒れになっていた謎の日本人青年ジロー（木村一八）を介抱し、店で雇うことに。店にはサリを慕うマフィアの用心棒アル（ジェームズ・ギャモン）が常に出入りしており、やがて3人は奇妙な絆で結ばれていくのだが……。
   オリジナル・ビデオの傑作ハードボイルド・アクション・シリーズ『タフ』から、シリーズの貢献者である原田眞人監督が発展させた劇場用映画。いわばシリーズ第6作目と捉えることも可能ではあるが、ここでの主人公はあくまでも日系ヒロインであり、またアクション描写よりも登場人物たちの心の機微をこそ気高く、そして切なく哀感を込めて追う人間ドラマとしての内容になっているので、シリーズを知らなくても単独でも楽しめる秀作に仕上がっている。東京ローズという要素を抽出させながら日米の戦争の闇にスポットを当てているのも原田監督ならでは。（増當竜也）