現代ママたちの寂しさを解明
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現在乳幼児を育てている母親の世代は男女平等の教育を受け、積極的に社会と関わることの良さや大切を経験している。しかし女性の身体の構造やそれに甘んじた「やはり育児は女性が」という社会の思い込みが重なり、出産を機に女性が仕事を辞め育児に専念する形を選ぶ夫婦は多い。さらにメディアを含めた社会全般が「母性神話」に洗脳され、育児の現実や多様なあり方を議論することは少ない。乳幼児の育児の大変さを教わったことのない新米の母親たちは、はじめての経験に戸惑い、やはり育児の大変さを知らない夫から理解を得にくいために、社会から置いてきぼりにされたような寂しさを味わう。著者は「母性」という観念が時代によって変わり、国の政治にも利用されるという事実を社会学的な点から議論している。そして著者自身の経験、学問的研究をもとに日本の育児、それから家庭人、社会人である男女両方の生き方の現状・問題点・展望を心理学・女性学の視点から分かりやすく議論する。