中学レベルの数学しか用いずに、
よくぞここまで分かりやすく説明してくれたものだと思う。
まさに統計学の池上解説だ。

難しい書き方をするのが高級な工学書と勘違いしている本が
大変多いが、本書は統計初心者および中級者にとって
これ以上無いというくらい分かりやすい。
そして本質を決して見失っていない。

大学時代、統計的品質管理の講義を受講したが、
さっぱりわからなかった。
それもそのはずで、その教科書はいきなり数式の羅列から始まる。
今見返しても、かなり難解だ。


しかし本書は違う。
まず定性的な話から始まる。
まさにタイトル通り「おはなし」だ。
そしてあらましを説明したあとに定量化する。
用いる数式は中学レベル。
できる事ならΣに慣れ親しんでいたほうがいいと思うが、
この点さえ乗り越えれば、
絶対に文系の人にも理解できる。
自信のない人は
・小学校の四則演算
・小学校で習う平均の計算
・中学校で習うルートの基本的な計算
・文字式の扱い
この4点だけ復習しておこう。
本書を読むにはこれで十分だ。

数式なくして科学を説明することは不可能なのだが、
統計の基本を理解するには中学の数学で十分なのだ、
と思い知った。
なぜ本書を大学一年生の前期で教科書として
用いてくれなかったのか、当時の先生に質問してみたいくらいだ。
そうすれば落第する学生はほぼいなかっただろうに。


統計や確率は産業のあらゆる分野で必須の知識である。
しかし難解であるがゆえに、理解せずに今まで放置してきた
方たちもたくさんいると思う。
そういった人たちは迷わず本書を手にとって欲しい。
ほぼすべての人が2、3ヶ月後には統計処理を
苦痛と思わないレベルまで成長すること、間違いなしだ。

蛇足だが、著者の大村氏は他にも統計確率、
品質管理関連の「おはなし」を執筆されている。
すべてが非常に分かりやすいので、
本書を礎として他書も読まれることをおすすめする。

統計学について「基礎編」「応用編」「娯楽編」に分けて想像のつきやすい具体例を交えて説明をしています。


「基礎編」では、統計学の基礎固めを中心に丁寧に説明しています。
「応用編」では、より実践的な統計学について具体例を示しながら説明をしています。
「娯楽編」では、パチンコの統計、野球の統計、競馬の統計についてそれぞれ取り上げています。


統計学の基礎的な部分を丁寧に学習したい方には最適な内容となっています。

　１９６９年から版を重ねるロングセラーのようです。統計学の核心をこれだけわかりやすく説明する才能に敬服しました。非常にわかりやすいです。数式の量は必要最小限でありながら、統計のエッセンスを味わえる良書です。説明がわかりやすいというだけでなく、文章としても明快です。本当にうまく説明されています。
　ただし、ｔ分布、カイ二乗検定、F検定などについては説明していますが、それ以上の奥地には踏み込んでいません。あくまでも入門編です。
　索引や参考文献がついていればなおよかったのですが。

佐和先生の統計の本で、「統計のうそ」という文句にひっぱられ、斜めに構えてきました。
本書で、もっと、楽しめばよいことに気がつきました。

道具は、どのように使ってもよいので、前向きに使えばよいのだと。

統計学をするための最初の段階に読むと非常に理解しやすい本です。
それだけに本格的に統計学をおこなっている方々には不要でしょう。

まず統計を学ぶに当たってどういう風に説明すれば、初心者が理解できるか
を著者はキモを知っています。そしてそれに対する事例をうまく挙げていきます。
厳密な統計学の定義や法則はコアテキストに譲るとしても、その前段階に
何を押さえておけば良いかを心得ています。

そして１つの章から次の章へ項目が移る場合でも前章の事柄をうまく活用させながら
物語のように連続性をもって本題をこなしていく。
具体的な事例も実用的なものから趣味やギャンブルまでを交えながらも面白く
話題を進めていきます。
この「統計のはなし」では応用編よりもむしろ基礎編に重点を置いています。