このアルバムのリリースに先立つ数週間、ロバート・プラントはサウス・バイ・サウスウェスト音楽祭で思いもよらない人気を博し、彼の4分の1の年齢のロッカーたちから成る自らのバンド、ザ・ストレンジ・センセーションとともに激しいセッションをした後、専用機で何の説明もなく帰ってしまった。彼の古いロック仲間たちの多くとは違って、プラントはレッド・ツェッペリンの偉大なメンバーという立場を離れてからほとんど落ちつくことがないという事実を表している話だ。8枚のソロアルバムの中で、ドゥーワップ、シンセポップ、それにドラムンベースまで実験してきた。だが56歳になって、この黄金の神は調子を上げてきている。「Tin Pan Valley」（邦題「ティン・パン・ヴァリー」）で、彼は「仲間はキャバレーで遊んでいる。反乱の雄たけびをあげる者もいる。俺はもっと高いところへ行く。地獄から抜け出さなければ」と歌っている。『Mighty Rearranger』（邦題『マイティ・リアレンジャー』）はこの世のものとは思えない彼の声質を最高に引き出していて、豊かなミドル・イーストのテクスチャーと、ソフトなブルースのアクセントと、ゴージャスなサイケデリックがあふれている。2002年のエキゾチックで官能的な『ドリームランド』（原題『Dreamland』）の精神を引き継いでいるが、サウンドはさらに洗練されている。静かな曲はさらに静かに、騒々しい曲はプラントがかつて12匹もの死んだクズリにとりつかれていたことを思い出させる。「Shine It All Around」（邦題「シャイン・イット・オール・アラウンド」）で、「人生は今、明るく、力強く、黄金に輝いている」と歌っているのは決して嘘ではない。（Aidin Vaziri, Amazon.com）