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園芸の極意 (生活人新書)

価格: ¥714
カテゴリ: 新書
ブランド: 日本放送出版協会
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園芸は愛情 ★★★★★
読後に 「自分もひとつ植物でも育ててみようかな」 と思わされるくらいの 「植物への愛、情熱」 を感じる一冊です。

2002年の本ですが、その本質は変わらずこの2008年にも通じます。 いわゆるインスタント園芸への批判なども 「植物への思い」 があればこその苦言としてむしろ心地よいです。 「花のついた苗を買ってくるよりも種まきから育ててほしい」 なんていうのは園芸に限らず 「今の社会風潮に対する願い」 と捉えることもできそうです。

またこの本の続編 (というか、2008年版といっていいかも) の 「至福の園芸」 もなかなかの本だと思いますが、自分としては 「園芸の極意」 のほうが江尻さんの思いの丈が伝わってきて良かったです。

どちらか1冊を読んで好感を持ったらもう一方、ということで結局両方おすすめです (内容に重複する部分もあるので、どうしても1冊というのならばこちらをすすめます)。
園芸界の彦左衛門が本当の園芸を語る ★★★★★
 ランの大家である江尻さんが、バックボーンのない日本の園芸界に対して、活を入れるために、ホテルに籠もって、万感の思いを込めて書いた素晴らしい新書が、この本である。

 旱魃で無惨に干からびたヒマワリ畑で、遠い子孫の為に、黙々と、オリーブを植え続けるスペインの農夫の話から、江尻さんの園芸論が始まる。そして、北海道東藻琴町の芝桜群落、それに、日本で園芸種として花開いた葉牡丹や朝顔の話、等々興味深い珠玉の様な逸話を交えながら、本物の園芸とは、何であるのかを語る。

 私見だが、オランダに住んでいて、チューリップで有名なキューケンホフ公園に出かけた時、最初にビックリしたのは、桜も皐も、チューリップもヒヤシンスも水仙も、みんな同時に、一緒に咲いていることであった!!。それなりに美しいけれど、この一本調子のヨーロッパと違って、微妙に変化する豊かな四季を持つ日本では、同じ種類の草花や花木でも、わずかな気候や温度の変化に呼応して、それぞれの時期を待って、姿を変える。俄然、日本の四季の豊かさに気づいて感激してしまった。この美しい日本で、本当の園芸が蔑ろにされている、これが、江尻さんの嘆きである。

 以前に、男の城として書斎を持とうと云う運動が起こった事があるが、江尻さんは、男の隠れ家「温室」を持とうと提案する。温かい植物の芳香に囲まれて、月下美人漬けの焼酎を味わいながら、月と星明かりの下で、瞑想に耽ったり読書三昧ーーーきっと、人生が変わるかも知れない。

 園芸を通じて、豊かな実りある生活とは一体何なのかを、江尻さんは情熱!!を込めて語りかけている。胸にジーンとくる、そんな本である。