インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

転がる香港に苔は生えない (文春文庫)

価格: ¥1,069
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
Amazon.co.jpで確認
転がる香港に苔は生えない ツアー☆ ★★★★★
以前から香港という街が好きで、一人でフラリと出かけています。
別にブランドが好きなわけでもなく、買い物にもあまり興味がないのですが、
あの自分を観光客だと感じさせない雰囲気が私には心地良いのだと思います。
実際にあの場所で暮らす、となったらたぶん私、無理なんですけどね(笑)

本を読み終わった時「今度香港へ行くときは、この本に出てくる場所を
自分の目で見て来よう!」と思い「転がる香港に苔は生えないツアー」
なんて題名までつけてプランを練っておりました。
仕事があり、なかなかそのプランを実現することができずにいましたが、
去年の12月20日〜23日の3泊4日の旅で、2年の月日を経て実現いたしました。
著者が住んでいたアパート、登場人物が住んでいたアパート、北河街市等、
そして著者にはなくてはならなかったあの「新金豪茶餐庁」も分かりました。
最初なかなか探せなくて、諦めかけて帰ろうとした時、看板が目に飛び込んで
来たのです。
この時、私の「転がる香港に苔は生えないツアー」無事終えることができました。

追伸:調景嶺はマンションしかありません。
駅を降りると「白洋舎」があって「ここは選ばれた人が住み場所なのね」って感じ。
白洋舎なんて、私でも滅多に利用しませんから(笑)
日本の未来への示唆 ★★★★★
都市の繁栄を最底辺で支えるのみの人生だった男。家族と共に暮らせない人々。福祉支援を法的に受けられない。自分にとっての「町」は歩いていける範囲がすべて。 描かれているのは、自分が勤める日本のとある地域で、日々目のあたりにする家庭の姿そのものでした。日本の家庭も、海外の家庭も含めてです。阿強が「ここにいるような人たち」と呼んだ人々が、むしろマジョリティとして暮らす場所です。 日本は苦しい時代に入りつつあります。一方で、さまざまな国の人々が日本にやって来て、多文化共生の道を開きつつあります。 経済的強者を基準にする均一化としてのグローバリゼーションが万民の幸福だという夢想から目覚めなければならない時期を、日本人はとっくに迎えています。けれども未だに日本のマスコミは、大阪市の大量生活保護受給事件の背景を掘り下げる力を持っていません。入国した中国人そのものを叩くだけで、彼らが脱出するしかなかった中国での生活や、甘い言葉で釣るスネークヘッドを、どれだけのマスコミが語ったのでしょうか。同じような苦しい生活を送る日本人が少なくないことは、いつも蓋をされたままです。 それに対して、星野さんが見つめた香港の姿は、じつに示唆に富んでいます。私たちは一人ひとりが「都市の細胞」なのだという捉え方は、旧来の家族のあり方が解体された今の日本人にも有用な視点だと思います。 「彼女は自分なりの方法で、必死に香港に居場所を見つけようとしている。その方法がちょっと気に食わないという理由で、彼女を批判する資格など私にはない。」 迷ったときに開く、大切な一冊が増えました。
最後まで読んで初めて題名の意味がわかる。 ★★★★★
香港返還という歴史的一大事のとき、わたしは小学生だった。
当然香港がどのような境遇におかれていたかを知る由もなく
返還されてよかったね、ぐらいなすっとぼけた感想しか持たなかった。
そして香港に興味を持つことなく22歳になったわたしは
あっという間に苔を生やしていた。


香港の人々は、強くてたくましい。
それは過去への執着が未来への適応能力を鈍化させるという
考えがあってこそで、その考えが香港を育ててきたし
その姿勢に見習わなくてはならない部分も多いにあると思う。
日本人も、のんびりと苔を生やしている場合ではない。


でも、饅頭職人の阿彬、中文大学同級生の阿強の中に
強さのなかにある脆さに人間らしさを見れて良かったとも思う。
香港という街が少し身近に感じられるようになったことが嬉しい。
稀有な出来。 ★★★★★
一人の写真家が書き上げたノンフィクションものの著作としては稀有な出来。
広東語を解する好奇心旺盛な著者の感性が、中国華南経済圏の植民地である香港とマッチした珠玉の作品。

ノンフィクションものなので、「もっとシビアな見方をしてもいいんじゃないのか」などなど、思うところはたくさんあったが、それ以上に著者の風景描写(写真家だからなのか、風景を描く文章がなかなか見事)と、人間に語らせる力には、素直に驚いた。
生活の視点から、香港人の語りを鮮明に聞き取れる著者の技には脱帽である。

返還前後の香港の姿を把握するのに、一読の価値はあるだろう。
リアルホンコン ★★★★★
香港について日本人が書いた本はたくさん読んできた。でもこの作品ほど客観的で、地に足の着いた作品は知らない。
喧騒に圧倒され、食を楽しみ、ショッピングがてらの街歩きにいそしむ。そういうビジター的な、現地人との接触がないものとは違い、香港の気候そのまま、肌にまとわりつくような人との親密さが感じられる。
それでも客観性を失わず、ドライな読み口なのは、著者の文章力。簡潔なのに味のある魅力的な文体。
何度読み返しても楽しめる逸品。