巻末の「知の道具箱」には読者への宿題が出ている。「デリダ的な視点」から現代社会への批判や自分の創作を行ってみてくださいという。このブックガイドを読み、さらに「何かを言いたいために書かれたわけではない」デリダのテクストを読んでも、まだデリダを読んだことにはならない。既成の秩序を挑発する「デリダ的」批判や脱構築の思想は、読者のうちに何かを生みだし、それが実践されることによってはじめて生きた知識となるのだ。(金子 遊)