ローマ録音の弾き語り集に続く、通算8枚目のアルバム。アカペラで歌う冒頭のタイトル曲がカッコいい。この調子で進むのかと思ったら、<2>はナタリー・コール88年のヒット曲でギンギンのロック調。ジョージ・ベンソンの懐かしいヒット曲<3>はメロウなムード。ランディ・クロフォードの<4>はしっとりと歌うバラード。こんな具合で曲調もさまざまだが、その結果、ケイコ・リーの魅力を多彩な角度から楽しめる点がうれしい。
   ほかにもコモドアーズ、スティーヴィー・ワンダー、イヴァン・リンス、ホイットニー・ヒューストンらのヒット曲を彼女流に歌っている。70年代以降のポップ曲が中心だが、すべて学生時代によく聴いたものなのだとか。この人はこういう曲を聴いて育ったんだ、と思わず親近感がわいてくる。
   バックは野力奏一、吉田次郎、坂井紅介、渡嘉敷祐一からなるレギュラーバンド。<8>は同名アルバムに入っていた人気曲のリメイクバージョン。（市川正二）