書いている内容に納得できる
★★★★★
筆者は、中学卒業後にすぐにアメリカに留学し、それ以来30年ほどをアメリカ
で過ごされ、現在はノンフィクションライターとして活動されている方である。
本書は、英語がうまくなる人にはどのような特性・特徴があって、ならない人
には逆にどのような特性・特徴があるのかをテーマにして、主として筆者の経験
によって知り得た観点から、指摘したものである。
またこのようなテーマを掲げるということには、「長く海外にいたからといって、
それが比例的に英語力向上につながっているとは限らない」という筆者の、経験
から確信した強い信念がある。
早口で喋り、スラングなどの「日常会話」を操っていて、一見「ペラペラ」
に見える、アメリカに長期滞在している留学生もいるが、社会人としての英語、
あるいはアカデミックな英語にはめっぽう弱かったりする。
本当の英語力は、見た目の「派手さ」にあるのではなく、大人の落ち着いた
言い回しができるかどうかにかかっている、という主張は前著『知的な英語、
好かれる英語』と軌を一にした筆者の元来の主張そのものである。
前著と比べ、著者が取材を続けているフィギュアスケートへの言及やたとえ話
が増え、批判的な意見が増えていることが気になる人は気になるかもしれないが、
書いている内容には納得しながら読み進めることができた本である。
内容は良いが、英語がうまくなる人のハードルは高い
★★★★☆
この著者は、高校からアメリカに留学してニューヨークの大学を卒業し、その後も英語に関わる仕事してきたとのこと。そのため、英語学習についての相談を受けることも多く、自身の経験を交えながら、今まで見てきた人たちの例から英語の上達が早い人とそうでない人の例を挙げて、英語が上手くなるにはどのようなことに気をつけたら良いかをまとめている。
第3章以降の、「通じる英語の秘訣」「使える英語を身につける」「日本人にありがちな間違いを克服する」「留学のススメ」「持続力を保つ秘訣」というのは興味深く読めた。また、ある程度になったら、和書ではなく洋書の教材を使うべきという指摘は、経験上うなずけるものがあった。
一方、著者の主張をまとめると、英語が上手くなる人は、
・日本語がきちんとしていて、
・独立心旺盛で、
・人の話をよく聞き、
・好奇心が強くて、
・失敗を恐れず、
・言葉できちんと説明するように心がけ、
・完成された文章で話そうとし、
・観察力があり、
・面倒がらずに辞書を引き、
・自分の考えを整理して言葉にでき、
・友達がすぐに作れ、
・英語を使って伝えたいことがあり、
・暗記が得意な人
。。。。ということになる。もちろん、継続的な努力も必要。しかし、これらの条件を全部満たせる能力の人など、果たして世の中に何パーセントいるだろうか?
内容は申し分無いけど‥…。
★★☆☆☆
特に、第3章「通じる英語の秘訣」
第5章「日本人にありがちな間違いを克服する」
これが面白かった。
発音に関して、英語は日本語とは呼吸法が異なることや
案外、フライトアテンダントのアナウンスが聞き取りにくいことなど
読めば思い当たり、納得することも多い。
簡単な意思疎通が出来る人が、次のステップに上がる為の
学習の軌道修正を行なう良い機会を与えてくれる。
フォーマルな表現をきちんと身につけ、スラングをむやみに多用しない
人の話を聞く、など英語でもコミュニーケーションが先にあり
伝える手段としての言葉があることを再認識させてくれる。
啓蒙書としてとても良い本。
しかし、趣味の読み物としては駄作と言わざるを得ない。
至る所に出てくる例、日本人(作者の知人)の描写が攻撃的で
蔑むようなニュアンスを含んでおり、読んでいて大変気になる。
ネガティブな部分はもう少しプレーンな表現が望ましい。
読み終わっても不快感が残り、内容が良い分、余計にがっかりした。
留学を考えている人、海外赴任を控えている人へ
★★★☆☆
留学を考えている人、海外赴任を控えている人、または留学している人にとっては、読んでおいて損にはならない。
私も学生時代にこの本に出会っていたら、英語への意識はポジティブに変化し、留学してみたいと考えたかもしれない。
また、著者本人の現地でのリアルな留学体験を元にしている為、学校選びや生活のスタンスにおいて参考になるだろう。
ただ、著者本人言いたい事は色々あるだろうが、”うまくなる人ならない人”というより、「海外で英語を学ぼうと思っている人へ」のメッセージの色合いが濃い。はたして日本で勉強しようと思っている人には参考になるのか疑問である。しかし、意識の転換には参考程度にはなると思う。また、読みやすいので、1日で大体読めるのも魅力だ。
王道。
★★★★★
母国語である日本語の維持(?)に苦心されながらNYで生活する著者からの
アドバイスは、優しい表現だが内容は厳しい。
「本物を追い求めなければ英語は身につかない」というメッセージを、様々
な言い回しで説くのを垣間見る。
TOEICを別の角度から学ぶ、日本語の表現に気を配る、人格や明確な目的から
学習の成果がわかるという普遍的なテーマを、奇を衒わずに書いている。
イデオロギーがかった学習法もいいが、この本が王道を語っている。雑誌や
新聞の固有名詞が出る回数が少なく、読者に考えることを要求しているのを
好ましく思う。