Nice & Slow
価格: ¥863
1990年代初期にブライアン・カルバートソンが10代にしてデビューアルバム『Long Night Out』を発表したとき、彼がスムースジャズを崇拝していることは明らかだった。一緒になって輝く商業上の音楽的つかみどころを求める傾向がはっきりと現れていたからだ。その後も続いた成功が、彼にはその種の才能がたっぷりあることを物語っているが、そういったレコードは、ラジオにかかっていて熱いうちにスムースジャズという鉄を打てとばかりに焦っているようにも見えた。『Nice & Slow』は彼の最近の作品とは趣が異なっている。タイトルからも分かるように円熟味の増した11曲集だが、カルバートソンはこのタイトルをこれらの歌を束ねるためのマントラとしても使っているようなのだ。というのも、いずれもこれまでで最高の仕上がりだからだ。デビュー以来これほど完成されたアルバムは出していない。証拠はたっぷりある。まず、デイヴ・コーズとの傑作バラードI Could Get Used to This、それにGet It Onでのファンキーでコールアンドレスポンス(訳注:黒人霊歌の文化で、一人が一節歌うと聴衆などが後に続いてその一節を一斉に歌うということを繰り返す)形式の中西部のグルーヴもある。この若きキーボード奏者は本アルバム中のゲストスターを実にうまく使っているが、そのゲストとはトランペッターのハーブ・アルパート、キーボード仲間のジェフ・ローバー、R&Bのスターのケニー・ラティモアらだ。 --Mark Ruffin