原作小説のいくつかのシナリオを、聴いて見て楽しむのが基本的な構成となっている。「音」の数々をドルビープロロジックII(※)対応にて製作し、あの美しい世界の空気感を再現しようとしている。主人公キノと相棒エルメス、そして彼らに関わるほかの登場キャラクターの声も、それぞれ有名声優が担当し完全フルボイス化されている。「絵」においては、実際に文庫本の中で挿入された黒星氏によるモノクロの挿し絵をカラーグラフィック化するというこだわりぶりだ。黒星氏監修のもと新たに描かれた大量のイラストは小説の挿し絵以上にストーリーを効果的に盛り上げている。
そのほか、アドベンチャーパートでは収録されているうちの3つのシナリオについて、アナザーストーリーをゲームとしてプレイできる。プレイヤーはキノと同じ旅人となって各原作小説に登場する街や国を自由に探索するのだ。ときにはキノの噂が聞けたり、キノとばったり出会うこともあるだろう。(林田信浩)