DOBERMAN
価格: ¥3,059
ギターはもちろん、ベース、打ち込みもほぼ自身で手掛けた、サウンド・プロダクツ的には感覚も具体も布袋寅泰エキス100%のアルバムである。2000年代に入って俳優業でも異彩を放ち、プライベ―トでは怪我、そして初めての愛娘の誕生という両極端な状況を通過したせいか、期待される布袋サウンドを残しつつ、過去にこだわらずに思い切った彼なりのフューチャー・ロックへ結実しているのが印象的だ。加えて、町田康(彼とは同年齢で、別の道を歩いてきただけに感慨もひとしおだろう)、小池真理子、豊川悦司ら、言葉に対して独自の美意識を持った作詞家を迎えた曲があることは、大御所と呼ばれる落とし穴を避け得た彼の本能によるものかも知れない。それでもやっぱり「ドラマティック」ではある。(石角友香)