サンダーバード
価格: ¥2,500
次々と素晴らしいアルバムを世に出して、カッサンドラ・ウィルソンは今日の最も偉大なヴォーカリストとしての地位を築き上げた。ジャズから、ブルースやポップスにまで枝葉を広げ、ノラ・ジョーンズをはじめとするクロス・ジャンルのスター達の為の道を整備した。しかしこのミシシッピ生まれの歌手が、こんなにもリラックスしていて魅力的なのは珍しい。今回のアルバムThunderbirdでは、Brother Where Art Thou?のプロデューサーである不屈の人T ボーン・バーネットとチームを組んでいる。ほとんどロス・アンジェルスでレコーディングされたアルバムだが、そのルーミーで雰囲気のあるサウンドやエクペリメンタルなタッチはもちろんだが、なんといっても、そのスタジオの中でどんどん工夫を重ねたところがうかがえるアプローチに感じてアプローーボードの(共同プロデューサーでもある)キーファス・チャンチャ、ギタリストのマーク・リボット、伝説のドラムス ジム・ケルトナーといったバーネットの革新的レギュラー陣を背景に、ウィルソンは、オフビートなGoing to Mexicoを歌う。これは、ニューオーリンズ・ワイルド・チュピチュラスによるHey Pocky A-Wayをサンプルにつくった夢みたいにファンキーな曲である。通常やる有名なポップスのカバーは避け、ジェイコブ・ディランの物悲しいCloser to Youとか、バーネットのダークなStrike a Matchに彼女のハスキーで魅力的な声を使っている。Strike a Matchは、彼女自身、タイムサインに変更を加えたり、歌詞を付け足したりして、、共作ということになっている。プログラマーでありベーシストでもあるマイク・エリゾンド(フィオナ・アップルのExtraordinary Machineのプロデューサー)やブラインド・レモン・ジェファーソンのEasy Riderの付け足された朗読で泣いてみせたギタリスト コリン・リンデンといったアーティストの創造的貢献も忘れてはならない。カウボーイのクラッシックとも言うべきRed River Valleyをリンデンとデュエットしたウィルソンだが、彼女の声の雄弁さは、彼女のえらんだどんな歌にもジャズを吹き込むことの出来る力をもっていることをあらわしている。