前作にあたる2001年の『Time (The Revelator)』は、厳しく、禁欲的で、時として不可解だったが、今回のウェルチはもっと温かく、気楽で、率直なところを見せている。シンガーとしてもソングライターとしてもだ。タイトルが予告しているとおり、「旅」(実際の旅はもちろん、心の旅も含む)というコンセプトが全10トラックの隅々にまで行きわたっている。ウェルチは、流浪(るろう)の身の人々が「罪への旅を続けている(on the road to sin)」ことや、旅人たちが「黒いハイウェイ(black highways)」を進むこと、娘たちが「ホロを下ろしたコンバーチブルを乗り回しながら(running around with the ragtop down)」「ゆっくりと駅を通り過ぎる(at the station rolling slow)」ことについて歌う。
ここに登場するウェルチ自身とおぼしき登場人物たちは、過去を探し求めつつ、同時に過去から逃げ出そうとしているのだ。そこにソフトなドラムス、フィドル、オルガン、ドブロが顔を出し、ほどよい軽さを添える。ソングライティングとプロダクションにまたしても手だれのデヴィッド・ローリングスを加え、昔のヒーローたちやもう少し最近の吟遊詩人たち――タウンズ・ヴァン・ザントやニール・ヤングらの作風を織り交ぜた、土臭いサウンドが展開する。(ザント、ヤングの両名は田舎っぽい味をもつギター弾きだが、本作の最後を飾る「Wrecking Ball」では、耳をつんざくさすらいのエレクトリック・ギター・プレイヤーといったところか。)
だが『Soul Journey』は、ウェルチにとっても我々にとっても、自分探しの旅が果てしなく続く中で立ち寄った、魅力的な休息地のひとつにすぎないのだ。(Marc Greilsamer, Amazon.com)