歌モノ3部作以降、日本のどんなロックバンドよりロック的なリ―ダーシップを必然的にとっていたスカパラ。それは同時に邦楽ロックフェスに足を運ぶティーンエイジャーに、ロックが“ジャンル”ではないことを実感させた。そうした実績の上で今回は、彼らが標榜する「東京スカ」の何たるかが、60年代のジャズメンの試行錯誤や研究・実験のようなストイックな美学とともに届けられる。久々のインスト・シングル「STROKE OF FATE」あたりから感じられたバンドのプライド。「AZURE」の間奏での音響めいたテクスチャーに聴こえるCDならではの楽しみ。会場限定だった吾妻光良をボ―カルに迎えた「さらば友よ」の哀愁と芳醇。攻撃から「ただ在る」ことへ、その強さを転じた傑作だ。（石角友香）