『リー・アン・ウォマック』はカントリーミュージック界では稀有な本格的ホンキートンクミュージックのデビュー・アルバムだ。ウォンマックの北テキサスの田舎町っぽいゆっくりした調子を、最近のミュージックロウ好みのハリウッドソフト・ロックで覆い隠すことをきっぱりと拒絶したプロデューサー、マーク・ライト。その結果、この若手シンガーの高音は感情の起伏を隠すことができない素朴さを醸し出している。初のシングル「Never Again, Again」では、もう決して恋人とよりを戻さないと誓ってはくじけてしまう女心のジレンマが震える高音部から聞き取れる。そんな先鋭さを全曲が伴っているとはいえないし、お決まりのブーツスクーティング・ダンスナンバーや窒息しそうなバラードはアルバムのインパクトを薄めてしまっている。それでも、昔の恋人に現実について説く頑ななウェートレスを演じる「Montgomery to Memphis」には彼女の将来性を感じることができるだろう。