箸の美、文化、歴史への手引書
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本書は日本の食卓には欠かせない「箸」を美術品として鑑賞するための手引書です。
「箸」といえば、やはり塗箸が中心に据えられていますが、歴史を遡り明解な注釈が
添えられているので、各種の箸を綺麗に撮影された写真とともに鑑賞することが
できます。また、各国(中国、韓国)と日本の箸の違いが何故あるのか、など
これまでに一度は疑問に思ったことがある題材についても親切な回答がなされており、
幅広い知識を得ることもできます。
本書では、箸専門店の銀座夏野店主のことばを含め、箸の文化の奥深さを知ることが
でき、良い書として仕上がっていると思います。
この「美の壺」シリーズは、各巻で対象とする美術題材について歴史、魅力の在りか、
最新情報まで、それぞれ3〜4の要点を「ツボ(≒壺)」として押さえるということを
目的にされて製作されています。
そのようなことから美術品には直接は興味のない方でも、全頁の半分ほどと豊富に
盛り込まれている写真を眺めているうちに、平易な解説と併せて美術品に対する
目と知識を養うことができます。すぐに読み切れるだけの分量ですが、巻末に
挙げられているギャラリーなどを含めて、いろいろと探っていくと奥の深い鑑賞の
目、知識が養われていくものと思われます。
美術品の入門書として、また美術品を写真で鑑賞したい方にはお奨めのシリーズです。