男を舐めて書いているのでは〜エロくもないし、面白くもない
★★☆☆☆
"スケベ"の女王"シマコ"が東スポに連載したエッセイを纏めたもの、と言う事で期待感が強過ぎたせいか、その期待と内容の詰まらなさの落差には呆然とした。野人"シマムラ"のエッセイに登場する"シマコ"の挿話はあんなに面白いのに...。
「何故このエッセイは詰まらないのか」、「このエッセイ集を面白くするにはどうしたら良いのか」と読んでいる方が悩む程。書いている当人は、本人及び周囲の"スケベ"ぶりを赤裸々に綴ったつもりなのだろうが、エロくもないし、面白くもない。第一の原因は、男が感じるエロスは幻想の中に存在するのに、著者は身近な具体例を書き過ぎているからだと思う。著者が"エロい"と思って書いているエピソードは、読む側にして見れば単なる「そんな事もあるのか」的話で、感覚を共有できないのである(吉本隆明風に言えば共同幻想を築けない)。第二の原因は、著者の話に相槌を打ってくれる、あるいは反駁してくれるキャラクターを登場させなかった事にあると思う。著者が卑近な即物的体験を語り、自分自身でオチを付ける。これでは、エピソード自身が余程面白くなければ読者も楽しめない。一話当り2頁と言う制約のせいなのか ? そう言えば、"次回に続く"と言う話が多いなぁ。そして、第三の原因は著者が醒めて書いているからであろう。東スポの読者を舐めて書いていたのではないか。
"スケベ"の女王は意外にも男のエロスを分かっていなかったのだ。東スポ連載と言うが、実は女性読者向きなのかもしれない。う〜ん、深遠なり"性の道"。