見るほどに夢心地を味あわせてくれるミュージックDVDだ。パフォーマンスが見事なのは当然として（プロデュースの関係でサウンドが全体的に小ざっぱりしすぎの感はある）、レーベル側がやたらと強調するとおり、DVDというフォーマットの特色をフル活用した特典が多数あるのも売りだろう。ここでの演奏は、アムネスティ・インターナショナルとグリーンピースに賛同して行われた1999年のツアーの最終日からのもので、会場はロンドン・ドックランズ・アリーナ。お望みの名曲がもれなく登場する。特典としては、数曲で用意されている親切なマルチ・アングル機能、尊大で自画自賛気味なインタビュー・ドキュメンタリー（それでもないよりはマシ）、ディスコグラフィ、全曲の歌詞、宣伝素材の使い回しみたいで少々退屈なフォト・ギャラリーなどがある。しかし、音楽については文句なし。ファンなら絶賛、ファンでなくとも認めざるを得ないという素晴らしさだ。ありとあらゆる種類のマテリアルをディスクの容量ぎりぎりまで詰め込むという作りは、今後すべてのミュージックDVDの模範になりそう。その意味でも要チェックの作品と言える。（Roger Thomas, Amazon.com）