密封小線源療法の解説バイブル。
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2004年7月にDr.Kent Wallnerの著書を、青木学博士と藤野邦夫氏が訳した「前立腺がん、これで全快!」があるが、本書はDr.Peter D.Grimmを代表編者として多くの医師が執筆参加した書を、直後の2004年8月に同じコンビで訳したものだ。章を分け待機療法、摘出手術、外照射療法、ホルモン療法、再発後治療も解説するが、基本的には組織内照射療法(或いは小線源療法)、つまりブラキセラピーを中心に解説したものだ。私も2008年12月に密封小線源治療をしたが、多くの治療法がある中で当療法を決定したきっかけの書だ。3泊4日の病室にも本書を持込み、治療のプロセスを逐一本書で確認したものだ。本書も出版から時間が経ち、その後にHIFU、陽子線、重粒子線、その他新しい治療法が出てきたが、ことブラキセラピーの解説では本書が最適である。手術と同じく早期発見が必要で、体積は60cc以下、PSAは10以下、グリーソンスコアーが6以下が望ましく、前立腺内に限局で被膜外浸潤なし、リンパ節転移なしが必要だ。浸潤、転移があれば手術もブラキセラピーも出来ない。前立腺ガンの特徴は、治療法が多い点、時間的余裕があること、しかるに患者が治療法をじっくり選択する余地があることだろう。施術出来る条件が確認出来たら、手術か小線源療法かよく双方の長所・短所を把握、比較検討することが重要だ。患者自身の負担と副作用の違いは明白だが、その後の再発の可能性まで考慮することも重要だ。摘出手術ならば次に外照射、ホルモン療法が出来、3段構えで対応出来る。一方で小線源療法では放射は目一杯なので、次にはホルモン療法の2段階しかない。開腹手術は負担が大きいし、腹腔鏡下前立腺全摘徐術も医師の経験が必要だし、再発・再燃・転移があり得るなら最初の治療こそ重要で、選択は悩む。結局私はQOLを最重要視し治療法を決め、その方法の経験豊富な医師と病院を選んだ。