インテリアの参考というより他人の部屋をのぞき見ているような
★★★★★
掲載されている写真を見ていると、
大して親しくない人、もしくは他人様のトイレを拝借したときに
ちらりとプライベートルームを見てしまったような、
そんな申し訳ない気持ちが微かだが生じてくる。
また、掲載されている写真の部屋は誰かが生活しているはずなのに、
なぜか人の住んでいる気配が感じられない。
まるで映画やドラマのセットのような、
この本の撮影のために作られた部屋のように感じられるのは
実に不思議な感覚である。
上京組の原点
★★★★★
この本との出会いは10数年前、確か池袋の書店(リブロ)で立ち読みしたのであった。
強烈なインパクトがあったし、自分も本に出てくる部屋の主たちと同様、6畳一間の風呂なしのアパートで暮らしていたから
“こういうのいいよねー”と大いに共感した。
40歳になったとき、たまたま図書館で再読した。
昔の部屋はとうに引っ越し、結婚して、大人になったと思っていたが
自分がこの本(部屋の主たち)から今も影響を受けていることに気がついた。
“自分の人生、好きなように思いっきり”
そういう本です。
買いです。
★★★★☆
表紙を繰ると、白いページに印刷されたタイトル、作者名、出版社名。それをさらに繰ると、一面に広がる、都市東京の眺め。そして、「文庫版あとがき」に記された「本書に収められた部屋の90%はもう元の状態にない。」という、後日譚とも取れる言葉。まるで良質の映画を見ているようでした。パラパラとしか目を通したことのなかった本書が文庫で出されていることを知り、購入したのがいつのことだったのか、実は判然としなかったりもしますが、ぽっかりできた休日の午前中に一気に読みました。京都書院から出された原書が93年、それが自分が東京での学生生活を終えて間もない頃だったことや、現在、自分が地方の郊外の持ち家のマンションに暮らしていることやなんかを思い合わせると、作者の「月に10日とか最低限働いて、それ以外の時間は本を読んだり映画を見たり絵を描いたりして過ごしている人が東京には意外に多い。」という言葉と相まって、これら写真に写っている部屋が現在の自分の生活の、もしかしたらあり得たかもしれないパラレルを見せてくれているのかもしれないと、ふとそんな気持ちになりました。
滑稽で、愚かしく、愛おしい
★★★★★
「他人の生活を覗いてみたい」という欲望は人間の本能だろうか。
隣家が外国より遠い東京という都市。
著者の都築響一はそんな東京に埋もれる無名な人々の居住空間にストロボを当てた。
「有機的混沌」と著者が呼ぶ、その猥雑で、稚拙な、私的空間の数々は、どれも不細工で青臭く、夢と、その夢の残骸で犇めいている。
それは滑稽で、愚かしく、まるでインディーズにも満たないアマチュアバンドのオリジナル楽曲を聴いているかのような気恥ずかしさがあるが、読んでいてい不思議と心は和み、微笑んでしまう。
「物質」っていいなぁ、自ずとそんな感慨にふける。
読後、あらためて自室を眺めてみると、たまらなく愛おしい気持ちになった。
そんな本。
リアル
★★★★☆
東京の若者はどんな暮らしをしているのか知りたくて購入しましたが、正直ショックでした。本に載っている半分以上の部屋は寝ていた布団もしまわないようなごっちゃごちゃの部屋。作者さんは「マスコミが垂れ流す美しき空間のイメージで、何も知らない外国人を騙すのはもうやめにしよう」「これが現実だ」などと言っていますが、これが現実の東京の若者のスタイルだとしたらショックでなりません。私がこの本を見て感じたTOKYOSTYLE=古い、狭いアパートから連想できる暮らしそのままでした。内容はちょっとショックでしたが、リアルを知ることはできました。
でもスタイリッシュなインテリアは批判がちで、ごちゃごちゃした部屋は快適だとばかり言う作者さんがちょっと個人的な好き嫌いを押し付けがましかったので☆4つです。