哲学者としての河合隼雄
★★★☆☆
人生経験豊富な近所のおっちゃん、おばちゃん的語り口でものすごく深いことをいう人である。人は若いうちは縦方向に成長し、歳をとると横方向に成長するというが、河合さんの言い方でいくと若いうちは「分ける」発想で努力を重ね、歳をとると「融合」の発想で世の中を悟っていくということらしい。心理学者の枠組みなど超越している哲学者といってよいだろう。
老賢人の死に寄せて
★★★★☆
人間の考えることとは、つまりこのようなものであると河合氏は述べる。何千年いや何万年経過しようが、人間に死は理解できない、特に「私の死」はと。人間の思索というものは、螺旋型であり、おそらく青年期に原型ができ、同じことを考えつつ思索の中身が深まるのであろう。「わかるなら、私がやってますがな」。ここに老賢人が一人死んだ。合掌。
なるほど、なるほど
★★★★☆
何度か著者の講演を聞きに行きましたが、資料も持たずにアドリブで冗談を交えながら喋っていました。講演という堅苦しい印象はなく内容の深いお話という感じです。この本も講演をそのまま活字にしただけなのですが、非常に面白い内容になっています。「なるほど、なるほど」と目からウロコの話がいっぱいあります。読めば絶対に何かを得られるはずです。