ユング心理学の枠組み
★★★★☆
ユング心理学の第一人者が豊富な夢の例を通して、無意識・イメージ・元型・アニマとアニムス・自己実現を説明していく。精神分析の中でもユングの無意識理論を知りたい人は、この本を読めば大体理解できるのではないだろうか。
本書の特徴はなにより夢の分析例が沢山あるということ。他の精神分析のように理論を語るよりも、夢分析の例の方が多かった気がする。そのために風変わりな内容となっていて楽しめるが、不可思議な夢の世界に興味がない人には読めない本だと思う。
ちなみにこの本は三十年以上前のものだが、書いてあることはそれほど風化していない。ただし著者は高度成長期の「日本人」を特徴あるものとして捉えており、それ故に日本人と西洋人の差がかなり違うと書いてある。個人的にはこの点が、グローバル社会に直面し、誰もが自立を求められるようになった現代日本と比べると、いささか違和感を感じてしまった。
そのため誠実なユング心理学の新書であるが、同時にこの本は既に古典として読まれるものなのかもしれない。
新書としては体系的で
★★★★★
最近、新書で、勉強になる本は3冊に1冊くらいあるが、
参考文献も含めて勉強になるのは10冊に1冊くらいです。
よく参考文献のない新書がありますが、うれしくないです。
ある分野について知ったら、次に何を読めばいいか。
書いてあることの裏を取るのに、何を読めばいいかが分る。
本書は、ユングに偏っているとはいえ、
内容も、参考文献もとても参考になる。
無意識のことについては、解説的な本書だけでは、
十分につかむことはできないと感じました。
日本庭園、座禅、お茶など、静かなもののなかに、
無意識に関する解があるかもしれない。
本書で読んだことと、自分で感じたことをまとめると、
無意識について、感じられるようになるかもしれない。
無意識についての入門書として是非
★★★★☆
とても優しげな語り口で、どなたにも分かりやすいように
書かれており、それは筆者のお人柄を表しているのだと思う。
難しそうな本を読む前に、無意識について概観するのに
適した本に思われる。
なんだかすっきりする
★★★★★
2年ほど前(大学生のとき)に一度読んだが、その時は自分の経験を本の内容と結びつけることがあまりできなかった。
改めて読んでみて、自分の「深層心理」を深層心理学に位置付けるという体験ができたような気がする。
自分の心理が一般的に説明されてしまうという体験は、なんだかすっきりするものがある。
僕の場合は特に、エディプスコンプレックスと、アニマ像の投影がそれであった。
ほぼ事前知識なしでも読めたので、深層心理学の入門書として良い本だと思います。
ユング心理学の初歩として
★★★★☆
夢を見る意義と機能について知るために、夢分析のサイトで参考文献として提示されていたのが、本書をしったきっかけであった。私はユング心理学については、全く知識がなく、本書は心理学の入門書、特にユング心理学についての良い入門書だと思う。また、意識と無意識の関係、無意識が人生全体に及ぼす影響について、多くの図や著者の臨床経験に基づいて語られているので、わかりやすく、示唆的であった。
夢は無意識から意識へのメッセージであり、夢には意識に上っていることへの補償作用があるというくだりは、悪夢を見る無意味さに悩まされていた私にとってとてもありがたかった。
ともあれ、いかめしいタイトルに惑わされず、ユング心理学について初歩的なことを知るとっかかりとしてお勧めしたい本である。