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影の現象学 (講談社学術文庫)

価格: ¥1,166
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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なんとかついていける難しさでした。 ★★★★☆
初めて読んだ同著者のこころの処方箋 (新潮文庫)が読みやすくて印象が良かったのと、
僕が軽い多重人格じゃないかと自分自身思っていたのでこれを注文してみました。

僕は、影というものは悪い自分自身、だと思っていたのですが、これを読み進めていくと
意識と無意識(影)の対立関係を現実の中で創造的なものに変えていくことも
できるのだなと知りました。

読みやすさとしては僕がかろうじてついていけるくらいでした。
ユング心理学入門が難しすぎた、という人はこういった副読本から
読み進めていくといいかもしれませんね。
無数の扉が見つかる本 ★★★☆☆
自我の抑圧された半面としての影についての考察をしています。
ユング心理学を知らなくても大変面白い本でしたし、事例が多く載っていて、
考察が深く読みやすいので、心理学を研究されている方には勉強になる良い
本だと思います。

影といっても、良い部分、例えば親切さを抑圧していた場合は、白い影として
出てくるという話が興味深かったです。ある生きられなかった半面として出てくる
のが影のように思えました。
影の他には、トリックスター・西洋と東洋の違いについて、などの考察がされています。
本書は、その西洋と東洋の違いを受けて最後に、「極東の特異な島国に住むわれわれ
としては、われわれ自身の「第三の道」を見出すことを、自らの力でやり抜いてゆくべき
ではなかろうか」という文で結ばれています。
この点を踏まえて特に日本の心理学の未来にかかわる人が読まれると良いのではないかと思いました。

ただ普通の人間には、怖い本です。自分の影を照らす何者かから逃げられなくなりそうで…、
今まで個室だと思っていた部屋が、実は見えなかっただけで、たくさんの扉に囲まれた部屋
だった気分。その扉を開けるという輝く可能性もある反面、勝手に扉が開く恐れもあるという二面性が…。
カウンセリングを受けたわけでもないのに、きちんと深層心理から上昇してくるエレベーターの夢を見た私。
影響を受けやすい人間には、河合先生の本はすごい効き目です。
私に限っていえばそれでも読んでよかったと思っていますが、
影に近い人には、あまり積極的にお勧めしにくい本なので星3つとしておきます。
どんな読者に勧めたらよいか不明です。 ★★☆☆☆
 ユング派精神分析家である河合氏は「影との「つき合い」は危険に満ちているが、その意義も深い(P.4)」と述べます。「影の病い」として二重人格を挙げているほか、「集団の影を背負うことを余儀なくされた人は、(中略)予言者、詩人、神経症、精神病、犯罪者になるか、あるいは一挙に影の反逆に成功して独裁者となるか、なんらかの異常性を強いられる(P.53)」と指摘から推し量るに、本書での「影」は個人・集団内で認められない価値観が別の姿をとって現れた症状や社会現象と考えられます。

 人間の心は時として本人でさえ理解できません。ゆえに精神分析家の観察は岡目八目で、本人でさえ理解しがたい心の動態を上手く捉える場合もあれば、他人の勝手な想像に堕する可能性も否定できません。しかし、多くの人に共通する精神上の法則が存在することもあります。本書はそうした法則のいくつかについて説明してくれています。例えば、「実際これらの人(対人恐怖症の人)は床屋に行くのにどんな髪形をして行くかを思い悩んでいるような人たちなのである。(中略)そのままの髪をして床屋に行き、まかせること。これがずいぶんと難しいことなのである(P.117)」、「子供は真実を見抜く力をもつが、それを語ることが及ぼす結果の恐ろしさを予見する力はもたない(P.88-89)」といった指摘は普遍的な法則でしょう。

 本書は、心の中にある影の存在や影との対峙の有用性と危険を教えてくれますが、同時に、その対峙は本人にしか行えず、専門家は見守るしかないことも吐露しています。やむにやまれぬ事情で影と向き合う人は既に精神分析家の力を借りているでしょうから、本書を通じて新たに影と向き合う意欲と能力がある人はゼロではないにせよ、多数とは思えません。その意味で、どういった読者に勧めてよいのか判断がつかない本です。
3年ほど前か ★★★★★
 夜一人で読んでいて、怖くなって身動きが取れなくなってしまったことがある。「心当たり」がある人間には、生易しい本ではない。また、そういう経験があるので、「隣人の悪」という言葉まで突きつけられて、すまし顔で本書を読んでられる人というのを、私は疑う。

 同著者の作品はしばしば読んでいたが、これを読んでからは殆ど読まなくなってしまった。知りたかった事を見つけたからか、これ以上知るのが怖いからか、理由はよく解らぬ。

王宙とセンジョウのはなしは、柳瀬直樹訳『ボルヘス怪奇短集』で読むことが出来る。
影という元型をとおして、自己を省みる ★★★★★
ユング心理学で扱われる元型のうち「影」に焦点を絞った書物です。現象学と銘打ってはいるが、難解な文章とは無縁です。一読してよく分からない内容もあるが、分からないままにそれを持ちこたえて読みすすめていくと理解が深まるようになっています。
著者のユング心理学入門を以前読んでいて、その文章に好感が持てたので、もっと関連の本を読んでみたいと思い、この「影の現象学」に出逢いました。
東西の神話や民話、文芸作品、社会現象、クライエントの見た夢を自在に引用して、「影」論を展開し、読者に提供しています。意味をたどることは出来ても、同じような文章を書くことは、容易じゃないだろうなあ。