それ以外にも醜形恐怖の人は、他人の評価では無く、醜い、という自己判断でのイメージに捕われて苦しむと知り、絵や言語化されなければ具体化されない、このイメージという物が、いかに人間を左右し、影響しているのかが読み進むほど分かり、へえーと感心もするが、憂鬱にもなる。人間とは、このようなつかみ所の無い物で成り立っているのか、と。以来、急に夢日記をつけ始め、夢で知る自分のイメージを解析しては、精神状態を冷静に見つめる作業をするようになった。思ったより、楽しく、意外な発見が出来るので興味深い。
心理学、宗教、芸術、という、様々な分野でのイメージと人間の関係性、それによる心理が説かれている。物語を愛する河合さんらしく、児童文学を引用し、死生観とは、と書かれている個所もあり、読み物としても面白い。しかし、全体的に広がりすぎてまとまりが無いとも思えるし、所々、心理学の専門用語が説明も無く飛び交い、平易とは言い難い部分も見られる。専門家の方が読む本なのかな、とも思ったが、それでも私のような人間でも本書を読んだ事は大いに収穫になった。
イメージは侮れない。そんな感想を素直に持った。