熱帯JAZZ楽団は聴かせるバンドであると同時に見せるバンドでもあり、ライヴだと最高に盛り上がる。それだけにライヴ盤の登場が待たれていた。2002年3月のコンサートを収録した本作は、その意味でまさに待望の作品。しかも初の2枚組とあって、内容もボリュームたっぷり。
   おなじみの曲を独自のラテン・アレンジで料理するのがこのバンドのウリで、ここでは得意のレパートリーをずらりと演奏している。加えてショッキング・ブルー(DISC1<4>)やフィル・コリンズ(DISC2<3>)のヒット曲といった新レパートリーも披露しており、ライヴならではのエネルギッシュな演奏が満喫できる作品だ。グレイドの高い演奏を行なうことと、楽しませる要素＝エンタテインメントを両立させることは大変だが、このバンドはそれを見事に両立させていて、自分たちでも楽しんでいる様子だ。たぶんそのあたりがバンドの人気の秘密だと思うのだが、これはライヴ盤とあって、そうしたバンドの特質がこれまで以上に鮮明に浮かび上がっている。（市川正二）