Evolution
価格: ¥832
陪審員はいまだに話し言葉の幕間のあるCDは廃れたと思っている。音楽は常にそれ自体のために語られるべきか? それとも、たまに砕けた言葉を入れるのは有効か? R&Bのもっともじらし上手なお利口さんで靴を2足履いていないシアラは『The Evolution』で、歌の断片がどうやって4つおきにCDに刻まれるのかリスナーに教える機会を手にしたと明確にしている。だが、彼女のつかの間の脱線はおそらく、ジャネット・ジャクソンが、そしてジャネット・ジャクソンだけが、マイクの前で取り留めもなくしゃべることを許されるべき数少ない考えよりも、埋めあわせになるだろう。音楽がこうしてホットになると、対話がどれだけ真摯でも生意気でも重要ではなくなる――じゃまでしかない。『The Evolution』はCDのドアを打ち破る。リル・ジョンは冒頭の「That's Right」ですぐさまスピーカーたちに飛びこませている。シアラは「Promise」でカーティス・メイフィールドばりのクリエイティヴなフレージングで跳ね回り(これは成功している)、カミリオネアは大音量のクラブ・ナンバー、ヒップヒップの熱気に満ちた「Get Up」でヒートアップしている。だが、助っ人や師匠のことは除いて、これはシアラのパーティで、彼女は客の喜ばせ方を心得ている。「Get In, Fit In」では宇宙時代の音景に強烈な一撃を入れた。「I Proceed」のバズとファズは彼女の吐息混じりのヴォーカルを充分に膨らませ、現代の女性歌手がこれほどの良いビートを作ることは難しい域にまで達している。聞き所と、今度彼女が幕間のあるCDを視野に入れる際に気をつけるべき所は、私たちにそう告げる必要すらないことだ。--Tammy La Gorce