本作は、おだやかな楽観主義に満ちた「Brighter than Sunshine」――おぼろげなストリングスによって美しく飾られたすばらしくシンプルなポップソング。より不機嫌になったELOを思わせる――で幕を開け、つぶやくような瀕死の子守唄「Good Goodnight」でクライマックスを迎える。そして、魅惑的だが生気のない「Easier to Lie」「Extraordinary Thing」といったトラックを通して、あいまいな緊張感を高めている。
「Extraordinary Thing」では、チャーチル首相の大戦時の有名な演説のもじりとハープシコードを取り入れるだけでなく、古典的でこっけいにすら聞こえる冒頭のフレーズ「元気を出せよ / そんなことはもう二度とないかもしれない」によって、レディオヘッドの楽曲を皮肉っている。アイヴァー・ノヴェロ賞にノミネートされたバンド名を冠したデビュー作をしのぐには、本作は特別な何かに欠けているが、型にはまらないメランコリックなスタイルで、堅実な仕事をこなしている。(Kevin Maidment, Amazon.co.uk)