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美術史の終焉?

価格: ¥2,592
カテゴリ: 単行本
ブランド: 勁草書房
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美術におけるヘーゲル的歴史観の再検討 ★★★★★
 本書の内容は大局的に見るとヴェルフリンを美術史の中の一つの分水嶺とみなし、それ以前の美術とそれ以降のモダニズムとの美術史の分断をどう美術史的に回収整理するかということのように思われる。
 そして、当然ながらその理論的考察の目は現代の美術の方に向けられつつ、そこから過去へと照射されるのであるが、現代の美術の多様化そして混沌と、それに対する職業美術史家の困惑がいたるところにみてとれる。
 にもかかわらず、自身のアカデミックな歩哨を確保しつつ、現代美術の奔放さにも権利を確保しようとする努力には学者としての良心を感じる。
 著者の現代美術や美術評論家、およびフランス現代思想などへのアンビバレンツな態度が本書に散漫な印象を与えているが、それにもまして、近代以降の美術に関する様々な思潮を視野に納めようとする本書の学術的価値は高く、真剣に読んでゆくなら一行足りとて読み飛ばせない密度の濃い内容であることに気付く。