秦の始皇帝の父ともいわれる呂不韋。韓、魏、趙、秦、楚と旅を続け、
乱世の時代の波に翻弄されながらも、自らの生き方について、常に正面
から向き合って問い、悩みながらも人としての器を大きくしてゆく呂不韋
の青年時代が描かれている。孫子、孟嘗君らとの出会いや別れが、彼を人
として更に大きく飛躍させる。
混沌とした現代社会の中で生きる私達の孤独や苦悩にも投影すること
ができ、前を向いて苦難を乗り越えて行こうという活力を与えてくれる
一冊。さりげない言葉のやりとりや描写までいきいきと蘇り、心にしみ
わたる本です。