日産自動車のカルロス・ゴーンは、自動車業界にとどまらず、広くビジネス界の想像力を刺激した経営者として、クライスラー社を率いたリー・アイアコッカ以来の存在といえる。

   ゴーンは、かつて例を見ないほどの再建を実現した―― 瀕死の重傷を負った日本の自動車メーカー日産自動車を、わずか2年で黒字転換するまでによみがえらせたのだ。外国人である彼が、日本の閉鎖的かつ因襲的なビジネス環境の中でこうした取り組みを行ったことを考えれば、その業績がいかに驚くべきものであるか理解できるはずだ。『Turnaround』の中で、ビジネスジャーナリストのデビッド・マギーは、舞台裏のゴーンの姿、その経営手法、そしてグローバルな経営者という新世代のリーダーとして彼が果たす役割を示している。

   ゴーンは、レバノン生まれのブラジル人。経営者として、アメリカ、南アメリカ、フランスで成功を収め、そして現在は日本で活躍している。『Turnaround』は、彼がいかにして、これまで日本の経済を押さえつけてきたビジネス上の、あるいは文化的なタブーを打破し、日産を建て直したか ―― どのようにコストを削減したか、「ケイレツ」をどう打ち破ったか、日産の得意とする革新的なデザイン、品質水準、製品をいかにして復活に導いたか ―― を明らかにした。 たとえ自動車業界に関係のない読者であっても、ゴーンが4大陸で収めた成果を達成するもととなった、以下の重要な経営手法を学ぶことができる。

• あらゆる事業取引における透明性の重要さ
• 機能横断的なチームアプローチによる計画立案
• ベンチマーキングによるコスト抑制
• 従業員間の文化的障壁の打破
• 権限委譲によって引き出す革新性

   日産自動車の復活という劇的なストーリーと、グローバル経済で成功するための新しい手法がひとつにまとまった本書は、あらゆる経営者必携の書である。（Book Description）