フリーマンを含む53年のクァルテット・セッションは、かつて『クール・ベイカーVol.1』『同 Vol.2』というタイトルで発売されたこともある。しかし、歴史的なマリガンとのピアノレス・クァルテットと『シングス』に代表されるヴォーカル作品の中間に位置する時期とあって、内容の素晴らしさに比べ、注目度はいまひとつだった。それゆえ、フリーマンとの53年のセッションをそっくり収録した本作は絶大な価値がある。しかも曲によっては、10インチ・バージョンと12インチ・バージョンの両方が収録され、一部別テイクも加えられているのだ。ずばり、センス抜群のウエスト・コースト・ジャズ。(市川正二)