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井沢式「日本史入門」講座〈4〉「怨霊鎮魂の日本史」の巻 (徳間文庫)

価格: ¥620
カテゴリ: 文庫
ブランド: 徳間書店
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政治の破綻ー怨霊信仰ー鎮魂文学 ★★★★★
 本書で繰り返されるキーワードが「怨霊信仰」であることは言うまでもない。その視点からすれば、「鎮魂文学」が生じてくるのは、理の当然で、その歴史を背景にして文学作品が紹介されている。
 さて、それらの前提として「政治の破綻」という用語をあってしかるべきだが、私のないものねだりで、「脱税で権力を手にした藤原」摂関政治の「特異な統治体制」、あるいは「ワンマン上皇の公然のスキャンダルが招いた悲劇」「保元の乱の火種となった鳥羽上皇の復習」とかいうのが具体例としては挙げられている。前者が鎮魂文学として「源氏」を主人公とした『源氏物語』を生み、後者は崇徳上皇、その他多くの滅びし「平家」を鎮魂する『平家物語』を生んだのも故なしとしない。
 歴史・政治とは無縁ではありえない因果律をそこに見出し、ただ外面的史実を追う通常の歴史観ではなく、怨霊鎮魂の言霊日本史という井沢式日本史の魅力がある。これでもって日本史を掻き撫でされたのでは困る。どこまでが通用するのか、その限界が自ずからある。
「顕幽分離主義」こそが日本の、日本人の一大特色だというところで止めたい。「霊魂」を歴史・文学に広く敷衍されては付いていけなくなる。たとえ井沢魔術にはまっていたとしても。
鎮魂文学の『源氏物語』 ★★★★★
大国主命を祭る出雲大社は、なぜ天照大神を祭る伊勢神宮よりも大きかったのか。
南朝の勇・楠木正成の像は、なぜ北朝の末裔である天皇家の皇居前にあるのか。
「巌流島」は、勝った武蔵の「二天一流」からではなく、なぜ負けた小次郎の「巌流」から名付けられたのか。
元号が明治になる際、なぜ朝廷は崇徳上皇の心霊を祭って白峯神宮を建てたのか。
藤原一族の女官である紫式部は、なぜ敵対する源氏のサクセスストーリーを書き、そしてなぜ藤原道長がそんな物語を褒めたのか。
全ての謎は「怨霊鎮魂」という一本の串でみごとに貫かれる。
歴史の因果関係を決して等閑にしない井沢氏のポリシーは今回も健在である。

このシリーズは、『逆説の日本史』に比べて冗長である。同じ内容が重複する部分が多い。
しかし、実用書を読み返す習慣があまりない私にとっては、この冗長さが理解と記憶の助けとなって重宝する。
情報量よりもわかり易さに重きを置いているからこそ、このシリーズのタイトルは『井沢式「日本史入門」講座』なのである。

読んだらすぐに人に教えたくなる。
私は高校の英語教師なので、職場ですぐに周りの教師に対して読んだ内容をひけらかした。
周りもわくわくした。
日本史はなんて面白いんだ、と思わせてくれる本である。
そして井沢氏の仮説を検証してみたい、と探究心をくすぐられる本である。