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FM雑誌と僕らの80年代--『FMステーション』青春記

価格: ¥9,200
カテゴリ: 単行本(ソフトカバー)
ブランド: 河出書房新社
Amazon.co.jpで確認
ノスタルジーだけではない示唆 ★★★★☆
タイトルから想像されるように、前半部は30代後半〜40代にとって
しっかりノスタルジーに浸れる内容。
雑誌の作り手側の体験記ゆえ、立ち上げの艱難辛苦や
先行する雑誌との差別化にまつわる苦労も
最終的には「創りあげる喜びと充実感」に昇華される。

ところが、時代の変化と共にFMエアチェックの「必要性」がなくなってくる。
筆者はこのターニングポイントを「CDの登場」としており
それがいかに示唆に富んだものであるかを説明する。

その説明は短いが、読んでいて、ある種の戦慄を覚えた。
あるひとつのカルチャーに寄り添って成立しているメディア(雑誌)は
そのカルチャーが衰退すれば、抵抗する術もなく消え入る。
これが専門誌というやつの宿命だ。
自己の存亡の鍵を、自分以外の外部に置いている恐ろしさ。

雑誌とは一体何だろうと考えさせられた。
前半の気楽なノスタルジーが一気に吹き飛んだ。

筆者は既に「成し遂げた」人物だが
これから「成し遂げねばならない」我々は、焦るばかりだ。
雑誌という仕事に関わる人なら、読んで損はない。



当時、FM雑誌を毎号かかさず購入していた人、必見(必読?)! ★★★★★
 最近、自分が音楽を聞くことにハマり始めた80年代後期のことをふと懐かしく思い出す時が多くて、その手の本があれば、つい購入してしまうのですが、この本はその中でも自分の当時の音楽と接していた環境をズバリ、適切に突いている、代弁してくれている本だと思います(今のようなクラブとかに行く機会もなくて、どちらかと言うと、自宅で聞くことが多かった、自分にとっては)。とりあえず、自分のI-podに好きな曲を転送して、通勤途中の電車の中で音楽を聞く機会が一番多くなってしまった(家のステレオでは意外と聞かないですね)自分のような者にとっては、”そういえば、あんな風に音楽と接していた(今、思えば、恐ろしく手間暇かけていたような気が、、)時代もあったな”と懐かしさに浸ってしまう、、、そんな一冊だと思います。でも、今のように、聞ききれない数のCDを所有して、簡単に海外の情報(ちなみに自分は当時も、今も洋楽派です)が入る(視聴、ラジオ番組が聞けて)状態よりも、当時の方が、必死になって聞いていたような気がする、このごろですが、、、。P.S. 自分はFMfan派でしたが、当時のクラスメイトが発売日の翌日に必ずFM STATIONを学校に持って来ていて、それをネタにいろいろ話をしていた頃をつい、思い浮かべてしまいました。FM雑誌ばんざい!
ああ青春、「エアチェック」の日々 ★★★★★
 80年代に青春を過ごした年代の方なら、例外なく「ノスタルジー」に浸ることができる一冊です。
 副題にもある通り『FMステーション』誌の元編集長さんによる著作。当時のFM放送とFM雑誌にまつわる裏話やFMステーション誌の創刊秘話など、懐かしく微笑ましい内容が楽しめます。読み進めるうちに、中学・高校の同窓会に出席している気分になってしまいました・・・
 既に、「FMファン」、「週間FM」、「FMレコパル」の3誌が先行していた所に、最後発として創刊した「FMステーション」。先行3誌への傾向と対策を経て、「POPな」表紙、装丁の「大型化」、「使える」紙面作りなど、それまでローティーンには敷居が高かった「FM放送のエアチェック」を身近な存在にしてくれた、革命的な雑誌でした。各誌のコンセプトも明確だったので、「オーディオ好き=レコパル」、「邦楽好き=週F」、「洋楽好き=Fファン」。そこに後発として参入した「ステーション」。私は、創刊号から飛びついた一人ですが、何が良かったかというと、同誌の「CASH BOX TOP100」。中綴じ体裁の丁度「真中」(番組表の中)にありました。お気に入りの曲やアルバムの「チャートアクション(順位の変動)」を毎号楽しみにしていました。「Fファン」は「Billboard」を掲載していたので、両チャートを比較したりして、妙に納得したものです(1位の曲が違っていることも多かったような気がします)。
 エアチェックのための「番組表の見やすさ」も、読者によって好みがあったらしく、各誌とも特長がありましたね。文字色を変えたり、「記号」をつけたり、その見やすさは「学習参考書」並み。制作サイドもご苦労されていたはず。そういえば、エアチェックする番組や曲に「マーカー」を引いたりして、全く試験勉強と変わりませんでした。正直、勉強より真剣に「チェック」していたことは否めません。
 鈴木英人氏のイラストでカセットテープのレーベル作り、インレタ転写のタイトル、そして「オリジナルテープ」の編集。全部、手作り。それら一連の作業をトータルに楽しむのが「エアチェック」という当時の流行だったのでしょう。
 本誌でも触れられていますが、「CDメディアの誕生」が「80年代音楽の終焉」を招いたことは否定できません。人の手でモノを作る時代(アナログ)の最後が「80年代前半」だったのでしょう。それは、地球規模で「デジタル」社会へ移行した「歴史的時期」でもあります。特に、音楽産業においては、レコード/ラジオという媒体の終焉は、音楽そのものの楽しみ方も変えてしまったのでしょう。
 既に、30年近くも経過した現在でも、80年代の音楽は我々の心を捉えて離さないのは何故なのか?それは単なる「ノスタルジー」ではなく、「アナログ」というモノづくりの原点が息づいているからこそ、作り手(表現者)の姿が見えてくるからでしょう。その意味では、当時の潮流を作り上げた「FMステーション」という雑誌の歴史を通じて、80年代という「古き良き時代」を振り返ることができる教養本かもしれません。