シングル・マザーのディディ（ジョディ・フォスター）の自慢は、7歳の息子フレッド（アダム・ハン・バード）。生まれて数か月で字を読み、今は物理、数学、芸術など各方面で天才振りを発揮するこの少年は、やがて大学に入学することになり、マスコミも騒ぎ出すが…。
   名女優J・フォスターが出演のみならず初監督も果たした心温まるヒューマン映画の佳作。己の教養のなさをコンプレックスに思いつつ息子を溺愛する母親と、常に孤独を感じ続けている天才少年との親子のきずなが、時にハートフルに、時にチャーミングに描出されている。J・フォスターの監督としてのセンスもなかなかのもので、そもそも天才子役としてマスコミを賑わせていた彼女の心情も、そこはかとなく伝わるものになっている。マーク・アイシャムの洒落た音楽も効果的。（的田也寸志）