人の心はどこにあるのだろうか?
★★★★★
人間の自我や心がどこに存在するのかはきわめて興味あるテーマである。ここ十年の研究からまだまだ不十分ではあるが次第に明らかにされつつある。大脳皮質ではない、本書では大脳辺域系の海馬、扁桃、側座核がこころの脳であることを示している。海馬が記憶系を扁桃が情動系を側座核が意思行動系を司っている。いわば、コンピュータに例えるなら、海馬、扁桃、側座核がCPUとメモリであり、大脳皮質がハードディスクに対応するのかもしれない。また、本書では脳幹のドーパミン、セロトニンなどの神経系を図示している。このような神経系と海馬、扁桃、側座核との関係が明らかにされてゆけば、アルツハイマー、うつ病、統合失調症のメカニズムまたその治療方法も研究されてゆくのでないだろうか。
2003年の出版で、わかりやすく心が形成される部分の仕組みが解説されている。