前作『Brave New World』で復活を遂げたヴォーカルのブルース・ディッキンスンとギターのエイドリアン・スミスは今や完全に本調子を取り戻し、アイアン・メイデンは再び活気づいているようだ。『Dance of Death』は往年のアイアン・メイデン――特に『Seventh Son of a Seventh Son』の頃――のようなサウンドで、並外れたプロダクションがものをいっている。ファースト・シングル「Wildest Dreams」の異常な猛スピードで幕を開け、3曲目(ぐっと盛り上がる「No More Lies」)に向けて加速していき、以降はおおむねこのペースが維持される。息をつくことができるのはスローなタイトル・トラックとオーケストラを起用した戦場の叙事詩「Paschendale」ぐらいのもの。ディッキンスンの張り詰めたヴォーカルは黙示録的な歌詞に重みを与えている。アイアン・メイデンほどの実力をもたないバンドの手にかかっていたら、この歌はアイロニーに堕していたか、ひたすらバカバカしいだけの曲になっていただろう(タカの鳴き声のサウンド・エフェクトを曲のど真ん中に挿入するなんて、彼ら以外のどんなバンドに許されるというのだ?)。ここにいるのは、シリアスな音楽を演奏する、シリアスな男たちだ。結成から20年以上たつ現在でも、アイアン・メイデンは頼りないヒヨッ子どもにロックの何たるかを少しばかり教えてやるだけの力を残している。『Dance of Death』で、アイアン・メイデンは単に戻ってきたのではなく、トップに返り咲いたのだ。(Robert Burrow, Amazon.co.uk)