新田次郎独自の世界
★★★★★
甲斐の名将・武田信玄・・・。
彼を描いた小説は数多く存在している。
だが、この新田版「武田信玄」が白眉なのは、一言で言うならば、問題集形式になっていることであろう。
即ち、事象に対して、なぜ、それがこういうことになったかの説明を同時進行ですることをせず、絶えず、「君ならどうする?」、「どう読み解く?」という問いかけをしてくるのである。
そして、最後に、実際を教え、答え合わせをさせる・・・。
こういう形式の著作にはお目にかかったことがなかっただけに、大変、印象に残っている作品である。