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周恩来秘録 上

価格: ¥1,950
カテゴリ: 単行本
ブランド: 文藝春秋
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毛沢東は神か?悪魔か? ★★★★☆
高健「愚か者の聖書」の最後のシーン、
高と毛沢東が(仮想空間で)論争をするところを思い出させる。

毛沢東という男が中華人民共和国にとって、いかに偉大で、且つ
いかに厄介者であったかがよくわかる本だ。

それと
自分の知り合いの中国人が、処世術のために正義を放棄しているフシがあるのだが、
その心理的背景もよくわかった。

ぎゃくに、日本人の精神土壌は
いくぶん幼稚で甘っちょろいんじゃないか、とも思った。
毛の猜疑心と周の執念のすさまじい暗闘 ★★★★★
中国現代史に興味あるかたに必読の書として是非お薦めしたい。

毛沢東を中心とする中国革命の領袖たちの内幕暴露めいた書は、最近のユン・チアンの「マオ」で出尽くした観があるが、本書はそれらと一線を画す極めて正攻法の評伝といえよう。この本が中国共産党幹部の履歴記録の専門家による幾重もの精緻な考証を経たたものであることはおびただしい文献引用とその索引を見ればわかる。

そうした実証性の高い記述を通して描かれる、隠忍自重に徹した周と猜疑心に満ちた毛が権謀術数の限りを尽くしてさいなむという実像には慄然とする。癌にむしばまれた周に手術を受けさずに死の床に追いやりその最後の最後まで追い落としに終始する毛と残り少ない命を削って自らの晩節を守ろうとする周の執念のすさまじさ。
現在の中国を理解するのに役立つ ★★★★☆
題名の対象は周恩来であるが、内容は毛沢東との確執が主要な要素であり、毛沢東抜きで周恩来を語れないことが納得させられる。
日本や欧米を中心とした世界では、毛沢東を、理性よりも不条理な面も含む信念を持つカリスマ権力者として認知していることが多いようであるが、その盟友である周恩来については、温厚で理性的な最高の実務者とみるファンが多かったように思う。しかし、近代化に遅れをとった大中国の、あれほどの混乱の中を生き抜いた周恩来が、そんな奇麗事で済むはずがないと思っている人もまた多かったのではないだろうか。そんな点に興味を持つ人にとって、本書は周恩来の実像と毛沢東との関係、中国共産党や文化大革命の内情を理解するために欠かせない1冊といえる。
これまでの周恩来の評価からすれば、自己保身や儒教的忠誠のために理性、人情、信念を曲げ、毛沢東に屈服してゆく姿には、「落ちた偶像」の感を否めない向きもおられるだろうが、やはり生身の周恩来として当然あるべき姿が見えてくる思いもする。
本書の内容は、興味本位や憶測の情報が多い中で、直接極秘資料に接していた著者が書かれたものだけに、内容にはリアリティがあり、他の同種の書とはやはり一味違っている。
ここ2〜3年日本と中国の間に起きている様々な状況を、日本人として冷静に理解するのに役立つ本である。
周恩来の小心翼々とした保身ぶりが衝撃的だった。 ★★★★★
社会主義幻想が消えて久しいが、残された数少ない偶像の一人、周恩来の実像を生々しく描いたこの作品はいつかは出るものと期待していた。周恩来はなぜあの文革さえ生き残れたのか。この著作以前に、毛沢東の実像を暴露する本はすでにかなり出ている。猜疑心、嫉妬心が強い権力の亡者、科学や経済を理解できないまるで皇帝のような存在だったことは世界中で広く知られていることだが、毛沢東の盟友であり、文革のさなかでも大衆から信頼され、親しまれた中国の良心ともされてきた周恩来の実像は、予期した以上に読んでいて気持ちが重くなるような思いがした。冒頭の部分で、周恩来が死んだ時、毛沢東はトラック一杯の花火を中南海の自邸に運ばせ、朝まで爆竹を鳴らし続けたというエピソードが書かれているが、毛沢東の人格、人間性をよく表している。絶対権力者の毛沢東の前では、あの周恩来さえ、保身のため小心翼々として忠誠を誓ったと言う。伝聞だけならにわかには信じられないようなことが多く書いてあるが、極秘資料を元に書かれた内容はリアリティがある。じつに読み応えがあるが、この力作を読んだ感想としては無惨という気持ちが支配的だった。とう小平が周恩来の死後、「周恩来がいたから文革を乗り切れた。しかし、周恩来がいなかったら文革はもっと早く終わっていた筈」という言葉はじつに辛辣で、この宰相の本質をするどく言い当てたものかもしれない。読んでいて疲れる本だが、知らなければいけない「歴史」なのだろう。
おぞましい権力欲 ★★★★★
ユン・チアン女史は「ワイルドスワン」によって、毛沢東の大躍進路線・文化大革命の大失敗とそれに伴う民衆の悲劇を余す所なく描き出したが、周恩来については僅かに触れただけだった。本書は周恩来の伝記を書く立場にあった著者が素顔の周恩来を描く事を通じて、毛沢東を中心とする中国上層部の権力闘争の醜さを曝け出したもの。

日中国交回復時の首相という立場、あるいは見るからに温和そうな風貌から、周恩来は日本人にとって親しみを感じる数少ない中国の政治家であろう。その周恩来が権力闘争の暗闘の中、如何に小心者を演じ(実際に小心者だったと言うエピソードもある)、常にNo.2の位置をキープすると言う慎重さを心掛けながら、絶えず民衆の事を想っていたかが窺える。

周恩来がNo.1の地位に着く事を恐れた毛沢東、あるいは江青によって自己批判させられた事は本書で初めて知った。それにしても、別書でも触れられているが、権力欲に取り付かれた毛沢東が、自らの大失敗は無視して、政敵を次々と失脚させる様に"おぞましさ"を感じた。天安門事件が起こった時、私などは中国における民主化運動が弾圧されたと思っていたが、本書を読むと、それも権力闘争の一環というからその腐敗振りは底なしである。

周恩来は晩年ガンに苦しんだそうであるが、毛沢東は治療をさせないばかりか、自己批判させたという。そして、周恩来は死ぬ際「私は人民に忠実だ」と叫んだという。No.2と言う生き方も、この姿勢を貫くためであったのだろう。周恩来の真情と毛沢東の"おぞましさ"の対照を際立たせて、中国上層部の権力闘争の醜さを暴いた貴重なレポート。