ルーシェの演奏は、ジャズとクラシック両方のファンに受け入れられた。原曲の持つメロディの美しさを生かしながら、同時にジャズ的な躍動感を生み出したのが成功の秘訣だろうか。本盤はルーシェの生誕70周年アルバムで、93年と94年の録音から11曲がピックアップされている。85年のバッハ生誕300年祭を期に、ルーシェはベースのヴァンサン・シャンボニエとドラムスのアンドレ・アルピノを加えた新トリオで活動を再開したが、これはその時代の録音だ。(市川正二)