「絵本を読む楽しさ、(中略)っていうのは、ひとつには絵本に描かれていない部分をどれくらい読めるか、だと思う」の言葉どおり、五味の奇想天外で楽しい深読みはとどまるところを知らない。対談相手である小野の言葉には目もくれず、どんどん物語の世界にはまっていく五味の饒舌(じょうぜつ)、2人のズレもおもしろい。いわく、「『よい本』なんてあるわけない。『よい読み方』があるばかりだね」。子どもに選定図書を与える大人の浅はかさをしかり、笑う痛快な1冊だ。(嶋田あひる)