スペイン語の単語をアルファベット順や頻度順ではなく、シチュエーション別にまとめて提示している。単語は基本語彙と発展語彙が分けられているので覚えていくのに優先度が付けられるのは良い。発展語彙は本書の主要な想定読者層である初級者よりはやや上を狙ったものだろう。簡単な例文があることも覚える時には役に立つ。また、練習問題も気が利いている。
シチュエーション別に語彙をまとめるのは、著者のはしがきにも書かれているようにコミュニカティブ・アプローチという指導法の成果であり、これは合理的と考えて良い。その意味では、新しい考え方による単語集で、これまでは日本におけるスペイン語学習書としてはあまりなかったのではないか。
読んでいて気になるのは、スペイン以外のスペイン語の扱いで少し粗雑に過ぎる。この問題は複雑で、簡単な解決策はないものの、単語の後ろに(ラ米)とだけ書いてあるというのは、スペイン-ラ米という二項対立だけで考えようとするもので、スペイン語のプロとしてはあまりに安易な方法であろう。一例を挙げれば、「自動車」はcocheだけとなっている(ただし、巻末の意味別語彙集にはauto, carroも載ってはいる)が、明らかに不十分だ。全体のコンセプトは良く、そつなくできているだけに惜しい気がする。期待を込めて少し厳しく評価した。

スペイン語の単語集は各社から出ていますが、
問題集と一緒になった物は、私が知る限りなかったと思います。

すべてシーン別になっており、
左側ページに単語と意味があり、右側ページが問題集となっています。
黒・灰色・青の３色刷で、目に優しいと思います。

随分多くの単語や例文が載っていますが、
発音用のカタカナ表記は一切ありませんので、
今現在スペイン語を学習中の方には喜ばれるのではないか…と思います。

左側の単語ページに簡単な例文が載っていますが、
文法に関する説明は一切ありませんので、
別の教本で文法を学びながら、この本を使用すると良いと思います。

巻末に、簡略ではありますが、
頻度の高い動詞の活用表や、文法の規則活用表がついています。

ここまで単語に特化した本は見た事がありませんので、
個人的には非常に素晴らしい一冊だと思っています。

ただ、発音のカタカナも無ければＣＤも附属しておりませんので、
超入門者の方には、厳しい一冊となるかも知れません。